日医ニュース 第943号(平成12年12月20日)

勤務医のひろば
医療の質の管理


 都立豊島病院は,一九九五年に診療を休止して全面改築を行い,九九年七月にまったく新しい総合病院として診療を再開した.現在のところ,三百六十床(最終四百五十八床)で診療を行っている.
 当院の重点医療は,緩和ケアなど九項目と多岐にわたっているが,「患者さんを地域全体で診る」という視点に立って,地域での機能分担と連携を進めている.当院が診療を再開するに当たり,都立三病院(大塚・老人医療センター・豊島)共同で,近隣六区の地区医師会等と医療連携協議会を設置し,緊密な医療連携を実践するために医療連携室を設け,診療部長が室長としてこの任に当たっている.
 当院の目指している運営基本方針は,スマイル・セーフティ・スリムをキーワードに,「心安らぐ医療の提供」「質の高い技術を笑顔で提供」することを職員に徹底させている.
 さらに,医療の質と安全の管理から,全医師に対して次のことを義務付けた.
一,医療における究極のサービスは安全にあり,質の高い基準での標準に基づいたクリティカル・パスを作成すること.
二,この標準から大きく逸脱した症例には,インシデントレポートの提出をすること.
 以下の七項目が,医師のインシデント・アクシデントレポートの提出基準である.

  1. 検査・手術の合併症,再手術
  2. 予定外の緊急処置
  3. ICU退出後の再入室と退院後の予期せぬ再入院(ともに七日以内)
  4. 予定入院期間の大幅延長
  5. 患者さんからの苦情,抗議など
  6. 院内感染の可能性
  7. 予定手術の中止あるいは延期

 以上を徹底し,クライアント(患者・家族・連携医療機関)の望む,的確で迅速な診断と,安全で信頼のおける治療を提供したい.

(東京都立豊島病院長 関口令安)


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