日医ニュース 第945号(平成13年1月20日)

勤務医の広場

レセプト審査について


 支払基金,国保連合会の審査での問題点は,従来からいろいろいわれていることであるが,特に,次の三点について申し上げたい.
 一つは,府県による格差是正である.同じ基金や国保でも,各審査員によってずいぶん差があるのは是正できないものだろうか.マニュアルを全国版にすれば,比較的容易に改められると思われる.また,都道府県間の審査に関する情報連絡をもっと強くする必要もある.「点数表の解釈」をもっと分かりやすく,見やすく,穴のないものにする必要もある.
 二つ目は,査定に対する責任を明確にするため,面談日を設けるべきである.文書による再審請求だけでは,一方的になりがちであるので,厄介ではあっても,面談をすることによって,審査に対する信頼度も増すと思われる.私は,面談のない県があることを知って,驚いている次第である.
 三つ目は,査定に対する過払いの問題をはっきりさせるべきではないかということである.現在,一万円以上の過払いが発生すると,診療側および患者さんに通知されるが,診療側が払ったという話はついぞ聞いたことがない.審査が一〇〇%正しくて,診療側が間違っているなら,もっと少ない過払いでもすべて返却すべきであろうが,査定にはいろいろな面があって,なかなかそうはいえない.例えば,同じ病名のもとで同じ検査をしても,片方は査定,片方はパスということが起こり得る.理由は,前者の検査が全体的に濃厚であった,あるいは総点数が高かったということであったりする.再審査の機会があるというのがそれに対する反論であろうが,文書のみでは論議はできないし,ポイントがずれることもある.過払いは診療側の問題というより,むしろ医療行政の問題であろう.審査が終わるまで待っていたのでは,診療側は一部負担金を徴収できなくなるのは明らかである.そこで,診療側は審査後全額を保険者から支払ってもらい,保険者は毎月天引きしている保険料に上乗せして負担金をとる形なら比較的容易に済む話である.

(三重県山田赤十字病院長 高橋陽一)


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