日医ニュース 第950号(平成13年4月5日)

感染症危機管理対策協議会
インフルエンザ予防接種などを討議


 感染症危機管理対策協議会が,三月十六日,日医会館で開催され,坪井栄孝会長(石川高明副会長代読)が,「インフルエンザの予防接種について,高齢者と接種医が安心して接種をすることができるよう,予防接種法の改正案の成立に向けて努力していきたい」とあいさつした.
 つづいて,櫻井秀也常任理事の司会で講演に入り,(一)「ウガンダで発生したエボラ出血熱」について,岩本愛吉東大医科学研究所教授が,厚生省から派遣されて現地で治療にあたった経験から,医療スタッフの防護手順,家族・介護者の防護,消毒・清掃,遺体・埋葬の扱いなどについて言及した.
(二)「生物兵器への対応」では,志方俊之帝京大教授が,日本では生物兵器への対処が遅れており,早期に検知・同定用の装備・器材を導入する必要があると述べた.
(三)「予防接種法改正」では,神谷齊国立療養所三重病院長が,国会に提出されている予防接種法改正案について報告し,改正後は二類疾病に位置付けられるインフルエンザの予防接種が努力義務でなく,個人の意思によって行われ,万一,健康被害が発生しても市町村が対応するようになると述べた.また,接種費用の一部が公費負担になる見通しも明らかにした.
 報告・協議では,田中一福岡県医師会副会長が,「福岡県医師会の感染症対策への取り組み」について報告し,定点医療機関の報告を県医師会より解析委員長に送り,翌日に定点医療機関,福岡県,福岡市,北九州市にFAXなどで通知しているとの説明があった.
 次に,雪下國雄日医感染症危機管理対策室長が,「感染症をめぐる最近の話題」について,都道府県医師会から事前に受けた質問を踏まえて報告を行った.また,非加熱製剤によるC型肝炎ウイルス感染の問題について触れ,医療機関名の公表を了承したが,(1)当時は正当な医療行為であったこと(2)カルテの保存期間は過ぎており,医療機関が隠蔽したわけでないこと─を重ねて厚生労働省に確認したと述べた.
 総括は石川高明副会長が行い,「地域の先生方が中心になって,地域住民の健康を守っていくことが非常に重要なので,今日の協議をぜひ地域で発展させてゆくようお願いしたい」と述べた.


日医ニュース目次へ