日医ニュース 第955号(平成13年6月20日)

日医
ハンセン病訴訟の控訴断念で声明


 政府は,五月二十三日,ハンセン病国家賠償請求訴訟で,熊本地方裁判所が五月十一日に出した判決に対して,控訴することを断念した.今回の判決内容は,「らい予防法」廃止に至るまでの国会および政府の法的責任を厳しく指摘するものとなっていた.
 ハンセン病患者・元患者はすでに高齢であり,できる限り早期に,そして,全面的な解決を図ることが必要である状況を踏まえ,小泉総理は,極めて異例の判断として,判決の法律上の問題点について明らかにしたうえで政府声明を発表し,判決についての控訴は行わず,全国の患者・元患者全員を対象とした,統一的な対応を行うこととしたものである.
 これを受けて,日医は,下記のような声明を発表し,政府の決断を高く評価した.

声  明

 ハンセン病国家賠償請求訴訟(熊本地裁判決)の取り扱いをめぐって,当初,政府は,「判決には,国政の基本的あり方にかかわる重大な法律上の問題がある」として,控訴の方針と伝えられていたところであるが,最終段階において,小泉総理の決断によって,政府は控訴を断念した.
 患者,元患者が強いられてきた長年の苦痛と苦難に思いをいたし,法律上の問題よりも人権,人道上の問題を直視し,決断したものとして高く評価する.
 日本医師会は,今回の正式決定を受けて,患者,元患者の一層の医療と福祉体制の充実を強く求める.

平成十三年五月二十四日
日本医師会長 坪井 栄孝


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