日医ニュース 第980号(平成14年7月5日)

日医が結核対策で記者会見
時代に即した結核対策の重要性を強調


 雪下國雄常任理事は,六月十一日の記者会見で,ツベルクリン反応検査およびBCG接種への対応について説明を行った.
 (1)乳幼児への接種については,原則として生後六カ月までのツベルクリン反応検査を省略したBCG直接接種を導入(2)小学一年および中学一年生のツベルクリン反応検査による定期健診については,BCG再接種の廃止にあわせて廃止―が厚生労働省厚生科学審議会感染症分科会で提言され,マスコミ等に公開されたため,現場で混乱が生じている状況にある.
 BCG接種は罹患者数の減少等に大きな効果があったが,罹患者の中心が青年層から中高年層に偏移しており,罹患者が減少すると効果も半減し,また,BCG接種を繰り返し行うことによるツベルクリン反応の陽転化が,早期診断や予防内服の対象者の判断に混乱をきたしているという指摘もある.このことから,乳児期に確実にBCG接種をし,BCG再接種は,ハイリスクグループ,二次感染を起こしやすい職業等に就労している者,接触者感染が疑われる者などへのより有効な対策にシフトする─という観点から施策の見直しが図られたものである.
 また,雪下常任理事は,「今回の見直しは,集団的・一律的な健診の効果等を検討した結果,廃止を決めたものであり,ツベルクリン反応検査自体の価値を否定したものではないということを理解してほしい」と述べ,ツベルクリン反応検査はハイリスク者への健診には有効で,積極的に活用し,実施していく必要があることを強調した.
 (2)については政令で定められており法改正の必要がなく早急に実施される可能性があるが,(1)は法改正が必要である.結核予防法等の改正は,感染症法との関係等も含め,平成十六年くらいまでずれこむ可能性もあり,一部新聞報道にあった平成十五年に法改正するという方針は決定されていない点に理解を求めた.
 なお,文部科学省では今回の提言を受け,学校における結核対策の検討のために学識経験者会議を発足させるが,日医もこの会議に委員として参加して,有効な方法を提言していく方針を明らかにした.


日医ニュース目次へ