日医ニュース 第983号(平成14年8月20日)

第1回 医療に関連する規制改革特区対策委員会
課題が山積,早急な対策が必要

 「医療に関連する規制改革特区対策委員会」の初会合が,8月1日,日医会館で開催された.この委員会は,総合規制改革会議,経済財政諮問会議などで議論が進められている規制改革特区問題について,情報を収集し,その対応策を協議することを目的に設置されたもので,検討の結果,早急な対策が必要であることが明らかとなった.

 冒頭,坪井栄孝会長は,「特区構想とは,現在,経済財政諮問会議や総合規制改革会議などで議論されている考え方である.中央では規制改革が実施できないから,地域からやろうという,たいへん卑怯なやり方だと思っている.一般的には,経済特区はいいが,医療特区はいけないという考えでよいようだが,特区に関する日医の意見を早急にまとめなければならない.特区構想の内容も日々変わっていくが,医療人がどう考えているか,忌憚のない意見を出してほしい」とあいさつし,委員長に唐澤祥人東京都医師会副会長を指名した.
 担当役員の櫻井秀也常任理事は,「特区に関しては,構造改革特区と規制改革特区という言葉が出てきている.前者は経済財政諮問会議で使われ,後者は総合規制改革会議で使われているようだが,実質的には同じことを意味していると思う.先日,総合規制改革会議から出された『中間とりまとめ』によると,生命・身体・健康に関する規制緩和まで,特区の対象にしようとしている.これには強く反対である」と述べた.
 さらに,石川高明副会長は,「特区は,地方公共団体が自発的に行うものという構想でスタートしており,各地域で守らなければならないケースが多くなってくるだろう」と特区構想の特質に言及した.
 つづいて審議に入り,特区構想が出ている各地医師会の委員がフリートーキングの形で意見を交換した.
 神戸市医師会からの報告では,「従来,医療にかかわることは,地方自治体の保健福祉局などで議論されてきたが,特区構想は経済局,産業振興局などで議論されていることに注意しなければならない」と,地域の医師会の気づかないところで議論が進んでいることを指摘.また,「保健福祉局で取り扱えば医師会に相談してくるだろうが,経済局などでは医師会に話がこない」と,今までの県や市に対する対応では不十分であることを述べた.
 この後,「日医の役割と地区医師会の役割をはっきりして対応すべきである」「先端医療に関する特許がかなりアメリカに取られようとしているので,特区で産・官・学が一体となって,橋渡しの研究者を海外から呼ぼうとしている」などの意見が出され,特区に関する課題が多方面にわたり,早急な対策を講じなければならないことが明らかになった.
 二回目は八月二十四日開催予定.


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