日医ニュース 第986号(平成14年10月5日)

第3回医療に関連する規制改革特区対策委員会
医療特区の導入に強い危機感


 第三回医療に関連する規制改革特区対策委員会が,九月十六日,都内のホテルで開催された.
 まず,唐澤人委員長(東京都医師会副会長)は,「中央政府で特区に関する議論が進んでいるが,冷静に,腹を据えて対策を講じなければならない」とあいさつ.つづいて,石川高明副会長は,自民党でも「構造改革特区推進に関する特命委員会」を設置して,この問題について話し合っていることを明らかにし,「自民党の委員会のなかにも,賛成派,反対派がいると聞いている.来週,自民党に対して特区のことについて打診するつもりでいる」と,特区に関する医政をめぐる動きについて触れた.
 内閣府の構造改革特区推進室によると,地方公共団体や民間から提案のあった「構造改革特区構想」は計四百二十六件で,医療特区構想が二十五件含まれていたとされている.
 例として,福島市から「福島市温泉ユートピア特区」,千葉県から「新産業創出特区」,川崎市から「国際バイオメディカル特区」,富山県から「くすり・バイオ研究産業集積特区」,神戸市から「先端医療産業特区」などが出され,病院,医療法人などからも「丸の内国際医療特区」などが出されている.これらのなかには,外国人医師の診療を認めるもの,混合診療につながるもの,株式会社の医療への参入に道を開くものなどがある.
 唐澤委員長は,「経済のために,国民の生命,健康に関することを犠牲にするのは許されない」として,委員会としての意見を取りまとめ,日医執行部,会員に対して問題点を指摘したいと述べた.
 話し合いを繰り返した結果,焦点が徐々に絞り込まれてきており,医療に関わる重要な論点は,「株式会社の医療への参入」「混合診療の容認」「外国人医師による医療行為の許容」(あるいは医師以外に医療行為を行わせること)─の三つで,これらは,現在の医療制度,医療保険制度を根底から覆すもので,絶対に容認できないという点で委員の意見は一致している.


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