 |
第1052号(平成17年7月5日) |
平成17年度第1回都道府県医師会長協議会
日医の諸活動を説明,協力を求める

本年度第一回目の都道府県医師会長協議会が,六月二十一日,日医会館小講堂で開催された.当日は,医療費の伸び率管理や医療提供体制の改革など,日医が直面するさまざまな問題について,活発な意見交換が行われた.
冒頭,植松治雄会長は,「本日,政府が骨太の方針を閣議決定する予定になっている.六月十五日ごろから,骨太の方針案が自民党内で議論になっていたが,最終的には,社会保障給付費の伸び率管理にかかわる文言,公的保険の守備範囲を狭めかねない文言は削除され,一定程度の納得は得られるものになると思う.
今後は,年末に向けての診療報酬改定,医療費財源の獲得という大きな課題が残されている.われわれには,医療の安全を確保しなければならないという使命があるが,それには財源が必要になる.われわれも,このことについては強く主張していくが,財源の確保のためには,先生方の協力が必要だと思っている」と述べた.(写真)
医療制度改革等を協議
(一)岡山県医師会からは,政府側の主張する医療費の伸び率管理制度について質問があり,植松会長が答弁.
「診療報酬については,プラス改定はむずかしいという声があちらこちらから聞こえてくる.しかし,われわれとしては,四年間もマイナスあるいは横ばいの状態で耐えてきており,これ以上は無理であると主張していくつもりだ.日医の国民皆保険制度堅持の理念は,政府側の市場経済原理を基にした新自由主義の理念と真っ向から対立している.国民医療推進協議会などの活動を通じて,国民とともに活動することが大切だと考えている」
(二)埼玉県医師会からは,混合診療に関しての質問が出され,松原謙二常任理事が,「混合診療については,薬剤の治験による保険適用の問題,先端医療の問題,回数制限の問題などが残されているが,これらの課題は,国民皆保険制度の理念を最大限に尊重し,保険給付すべきものは速やかに保険適用すべく,中医協で対応を協議しているところである」と答えた.
(三)埼玉県医師会は,医師の適正数,特に,地域・診療科による偏在問題に関する日医の見解,および,卒後臨床研修修了医師への再研修の社会的影響を質した.
土屋 常任理事は,地域偏在の解消策として,日医が,(1)自衛隊医官の活用(2)臨床研修二年目の地域研修の義務化(3)全国一本化されたドクターバンクネットワークの構築を提案していると説明.
橋本信也常任理事は,新臨床研修制度以後の中小病院の医師不足は,大学医局員の引き揚げによる二次的現象であると指摘.また,日医として,「臨床研修修了後の医師の教育についての検討委員会(プロジェクト)」を設置,今後,検討していくとした.
(四)山口県医師会からの「日常医療圏」構想と米国の広域医療圏統合ネットワーク(IHN)に関する質問には,土屋常任理事が,「医療計画の見直し等に関する検討会」での経過を説明.今後,社会保障審議会医療部会での審議には,医療計画のみでなく,医療制度改革全般を見据えて臨みたいとした.
また,三上裕司常任理事は,「すべての医療制度改革は日本版IHNを作り,行政支配の強化と株式会社の参入への道を開こうとする意図が感じられ,慎重に対応していきたい」と述べた.
(五)日医標準レセプトソフト(日レセ)のデータバックアップ再開を求める石川県医師会の要望に答弁した松原常任理事は,「本年四月一日に発効した個人情報保護法を十分検討した結果,三月末日現在,十八医療機関にしか使われていない日レセのバックアップを停止した.データは暗号化されているから安心だという意見もあるが,演算能力の高いコンピュータが開発されつつあり,将来的に暗号は無力化する恐れもある.しかし,日レセは日医会員にとって有益であることが前提であり,集積したレセプトデータを日医が活用するために作ったものである.現在,患者さんの個人情報を削除したデータを日医総研に蓄積するシステムを構築中であり,診療報酬改定時に役立てたいと考えている」と述べた.
(六)日医ホームページ都道府県医師会宛文書管理システムの掲載内容には偏りがあるとの愛媛県医師会からの指摘に対して,松原常任理事は,会員にとって有用であると判断したものを各常任理事の判断で掲載しているが,より利用しやすくなるように検討していきたいと回答した.
(七)岐阜県医師会からの質問には,雪下國雄常任理事が回答.
BCGの接種期間延長の要望等については,六カ月以降の接種であっても,一年までの間に実施するものについては,やむを得ない理由がある場合は,移行措置として公費を認めており,その健康被害に対しても公費による補償が認められ,市町村が補償を行うことはないと説明した.
厚生労働省からの通達により,日本脳炎ワクチンを接種できなくなった子どもに対する,新ワクチンの優先的な接種の配慮については,予防接種再開時には,十分な新型ワクチン量を確保し,未接種者にも不都合なことがないよう配慮するとともに,延期により接種期間が過ぎてしまったものに対しても公費で実施すると述べた.
(八)熊本県医師会は,日医前執行部と九医連との意見交換会で出された,「免許や入学資格などに必要とされる診断書の発行の問題」について,その後の経緯と日医の見解を質した.
野中博常任理事は,日医としても検討の必要性を感じている問題であるとしたうえで,厚労省に検討会の設置を要望してきたことなどの経緯を説明.今後は,野中常任理事が窓口となり,厚労省と検討会の設置交渉などを進めていきたいと回答.
また,「診断書記載の拒否」などの各論についても,現在,厚労省に意見の申し入れ等を行っており,速やかに答えを出す方向で努力したいと述べた.
(九)日医ニュースの記事内容が,代議員会の活発な議論を否定するものではないかとの北海道医師会の問いに対して,植松会長は,「当該記事は,執筆者の個人的見解であり,執行部としては,代議員会,会員の発言に制約を加える気持ちはまったくない」と回答した.
医療事故防止研修会等を報告
日医からの報告事項として,まず,松原常任理事が,六月二十一日開催の第三回理事会で承認された「医療保険制度改革における日本医師会の考え方」(詳細は本紙第一○五一号一面参照)について,新たな高齢者医療保険制度の創設を中心に概説.今後はこの考えを基に,日本の医療が国民にとって,より適切なものとなるよう,社会保障審議会医療保険部会等で積極的に意見を述べていきたいとした.
医療事故防止研修会については,寺岡暉副会長が研修会の内容,参加者選定の流れ等を中心に説明.今回の研修会は,医療事故防止に実効を挙げ,医師の職業倫理の向上,医師会組織の自浄作用の活性化に資することを目的としていることを強調し,その趣旨への理解とより一層の協力を求めた.
消費税に関するアンケート調査については,三上常任理事が,「社会保険診療報酬に対する消費税の非課税制度を,ゼロ税率ないしは軽減税率による課税制度に改めることを要望するに当たり,会員の意見を聞くため,このたび都道府県医師会で調査を実施してもらうこととなった」と調査実施の経緯を説明.調査の際には,調査票のサンプル案・参考資料を活用してほしいと要望した.
会内の自浄作用活性化委員会が取りまとめた「自浄作用活性化推進に向けて―ハンドブック(案)」については,野中常任理事が,各県に持ち帰ってもらい,八月末までに意見を日医の方へ提出してほしいと要望.その意見をもとに再度委員会で議論し,植松会長に答申したうえで,冊子にして都道府県医師会・郡市区医師会に配布する予定でいるので,ぜひ活用してほしいとした.
|