日医ニュース
日医ニュース目次 第1054号(平成17年8月5日)

資料版
介護保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う介護報酬等の見直しの概要
(平成17年10月1日施行分)

I 基本的考え方

○在宅と施設の給付と負担の公平性,介護保険給付と年金給付との調整の観点から,介護保険法等の一部を改正する法律(平成17年法律第77号.以下「改正法」という.)において,介護保険施設等における居住費(滞在費)及び食費を保険給付の対象外とすることに伴う所要の見直しを行う.
○具体的には,居住費については,居住環境の違いを考慮しつつ,現在,施設介護サービス費等において包括的に評価している「居住(滞在)に要する費用」を保険給付の対象外とする見直しを行う.また,食費については,現行の基本食事サービス費等が廃止されることに伴い,給食管理業務を含めた栄養管理業務についてその在り方を見直した上で,施設介護サービス費等の加算として評価する.
○また,保険給付の対象外となる居住費・食費について,適正な契約の確保や利用者保護の観点から契約の手続を定めるなど,運営基準等の見直しを行う.

II 主な見直しの内容

1.居住費(滞在費)に関連する介護報酬の見直し

『介護保険施設』
介護報酬類型の見直し
 介護保険施設の報酬類型を,居住環境の違いに応じ,(1)ユニット型個室,(2)ユニット型準個室,(3)従来型個室及び(4)多床室の4類型とし,ユニット型個室及びユニット型準個室については,ユニットケアを評価するとともに,4類型それぞれについて,居住環境の違いを勘案した「居住に要する費用」を介護報酬から控除することとする.

『介護老人保健施設(老人保健施設)』

<介護保健施設サービス費(I)の改正内容>
    介護保健施設サービス費(I)<従来型個室>
    要介護1 702単位/日
    要介護2 751単位/日
介護保健施設サービス費(I) 要介護3 804単位/日
<看護職員・介護職員の配置が3:1以上> 要介護4 858単位/日
要介護1 819単位/日 要介護5 911単位/日
要介護2 868単位/日    
要介護3 921単位/日 介護保健施設サービス費(II)<多床室>
要介護4 975単位/日 要介護1 801単位/日
要介護5 1,028単位/日 要介護2 850単位/日
    要介護3 903単位/日
    要介護4 957単位/日
    要介護5 1,010単位/日

<ユニット型介護保健施設サービス費の創設>
    ユニット型介護保健施設サービス費(I)
    <ユニット型個室>
    要介護1 689単位/日
    要介護2 738単位/日
    要介護3 791単位/日
    要介護4 845単位/日
ユニット型介護保健 要介護5 898単位/日
施設サービス費(新設)    
    ユニット型介護保健施設サービス費(II)
    <ユニット型準個室>
    要介護1 689単位/日
    要介護2 738単位/日
    要介護3 791単位/日
    要介護4 845単位/日
    要介護5 898単位/日

『介護療養型医療施設(病院・診療所)』

<療養型介護療養施設サービス費(I)の改正内容>
    →  療養型介護療養施設サービス費(I-i)
<従来型個室>
    要介護1 671単位/日
    要介護2 781単位/日
療養型介護療養施設サービス費(I) 要介護3 1,019単位/日
<看護職員配置6:1以上・ 要介護4 1,120単位/日
介護職員配置4:1以上> 要介護5 1,211単位/日
要介護1 820単位/日    
要介護2 930単位/日 療養型介護療養施設サービス費(I-ii)
要介護3 1,168単位/日 <多床室>
要介護4 1,269単位/日 要介護1 802単位/日
要介護5 1,360単位/日 要介護2 912単位/日
    要介護3 1,150単位/日
    要介護4 1,251単位/日
    要介護5 1,342単位/日

<ユニット型療養型介護療養施設サービス費の創設>
    →  ユニット型療養型介護療養施設サービス費
    (I)<ユニット型個室>
    要介護1 690単位/日
    要介護2 800単位/日
    要介護3 1,038単位/日
    要介護4 1,139単位/日
ユニット型療養型介護療養 要介護5 1,230単位/日
施設サービス費(新設)    
    ユニット型療養型介護療養施設サービス費
    (II)<ユニット型準個室>
    要介護1 690単位/日
    要介護2 800単位/日
    要介護3 1,038単位/日
    要介護4 1,139単位/日
    要介護5 1,230単位/日

『短期入所生活・療養介護』

介護報酬類型の見直し
 短期入所生活(療養)介護についても,介護保険施設と同様に,報酬類型を居住環境の違いに応じ,(1)ユニット型個室,(2)ユニット型準個室,(3)従来型個室及び(4)多床室の4類型とし,ユニット型個室及びユニット型準個室については,ユニットケアを評価するとともに,4類型それぞれについて,居住環境の違いを勘案した「滞在に要する費用」を介護報酬から控除することとする.

2.食費に関連する介護報酬の見直し

(1)基本食事サービス費等の廃止
 改正法において食費が保険給付の対象外とされたことに伴い,次の見直しを行う.
「(1)介護保険施設」
 基本食事サービス費を廃止する.
「(2)短期入所生活・療養介護」
 短期入所生活介護費及び短期入所療養介護費から食事に要する費用を控除する.
「(3)通所介護・通所リハビリテーション」
 食事提供加算(※現在,39単位/日を加算)を廃止する.
(2)栄養管理の評価について
 栄養管理については,管理栄養士等の配置に主眼をおいた現行の評価の在り方を見直し,個々の入所者の栄養状態,健康状態に着目した栄養ケア・マネジメントを評価する観点から見直しを行うこととする.
「(1)介護保険施設」
 介護保険施設においては,以下の観点から栄養管理に係る評価を行う.

i)栄養管理体制に対する評価
 常勤の管理栄養士又は栄養士を1名以上配置した場合に評価する.
  栄養管理体制加算(新設)
   管理栄養士配置加算 → 12単位/日
   栄養士配置加算   → 10単位/日

ii)栄養ケア・マネジメントに対する評価
 入所者の栄養状態を適切にアセスメントし,その状態に応じて多職種協働により栄養ケア・マネジメントが行われた場合に評価する.
  栄養マネジメント加算(新設) → 12単位/日

※算定要件
イ: 常勤の管理栄養士を1名以上配置していること
ロ: 医師,管理栄養士等が共同して,入所者ごとに栄養状態を把握し,個々人の摂食・嚥下機能に着目した食形態にも配慮して栄養ケア計画を作成していること
ハ: 栄養ケア計画に従い栄養管理が行われているとともに,入所者の栄養状態を定期的に記録していること
ニ: 栄養ケア計画の進捗状況を定期的に評価し,必要に応じて見直していること
ホ: 別の告示で定める定員利用・人員基準に適合していること

iii)経口摂取への移行に対する評価
 経管により食事を摂取する入所者について,経口摂取を進めるために,医師の指示に基づく栄養管理を行う場合に180日を限度として評価する.
   経口移行加算(新設) → 28単位/日

ただし,経口摂取が一部可能な者であって,医師の指示に基づき,継続して経口による食事の摂取に移行するための栄養管理が必要とされるものについては,引き続き算定することができるものとする.
また,経口により食事を摂取している者であって,著しい摂食・嚥下機能障害を有し,誤嚥が認められるものについて,摂食・嚥下機能がビデオレントゲン造影又は内視鏡検査により適切に評価され,食形態の配慮等の経口摂取を進めるための適切な措置が講じられているなど,経口による食事の摂取を進めるための特別な管理が行われた場合については,算定することができることとする.

iv)療養食に対する評価
 医師の指示せんに基づく療養食(※)を提供した場合に評価する.
   療養食加算(新設) → 23単位/日

※療養食: 医師の発行する食事せんに基づき提供された適切な栄養量及び内容を有する糖尿病食,腎臓病食,肝臓病食,胃潰瘍食,貧血食,膵臓病食,高脂血症食,痛風食及び特別な場合の検査食
※算定要件
イ: 食事の提供が管理栄養士又は栄養士によって管理されていること
ロ: 入所者の年齢,心身の状況によって適切な栄養量及び内容の食事の提供が行われること
ハ: 別の告示で定める定員利用・人員基準に適合していること

「(2)短期入所生活・療養介護」
 短期入所生活・療養介護においては,以下の観点から栄養管理に係る評価を行う.

i)栄養管理体制に対する評価
 管理栄養士又は栄養士を1名以上配置した場合に評価する.
  栄養管理体制加算(新設)
   管理栄養士配置加算 → 12単位/日
   栄養士配置加算   → 10単位/日

ii)療養食に対する評価
 医師の指示せんに基づく療養食(※)を提供した場合に評価する.
  療養食加算(新設) → 23単位/日

※療養食: 医師の発行する食事せんに基づき提供された適切な栄養量及び内容を有する糖尿病食,腎臓病食,肝臓病食,胃潰瘍食,貧血食,膵臓病食,高脂血症食,痛風食及び特別な場合の検査食
※算定要件
イ: 食事の提供が管理栄養士又は栄養士によって管理されていること
ロ: 入所者の年齢,心身の状況によって適切な栄養量及び内容の食事の提供が行われること
ハ: 別の告示で定める定員利用・人員基準に適合していること

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