日医ニュース
日医ニュース目次 第1066号(平成18年2月5日)

平成17年度第3回都道府県医師会長協議会
植松会長「国民の声を国会へ届けたい」

 第三回都道府県医師会長協議会が,一月十七日,日医会館大講堂で開催された.通常国会で医療制度改革に関する議論が開始されるのを前にして,各県医師会からは日医の対応・考えを問う質問が多く出された.

医療を取り巻く厳しい現状を訴え,
理解を求める植松会長
 冒頭,植松治雄会長は,年末に決定した診療報酬改定および中医協の問題等,医療を取り巻く昨今の厳しい現状を訴えた.そのうえで,署名運動において千七百万人を超える署名が集まったことを報告.「この国民の声を背中に受けつつ,そして,これに応えるためにも,国民の医療費自己負担の軽減を目指し,また,不合理な法律の改正にならないよう,これまで以上に尽力したい」と決意を述べた.
 (一)山口県医師会は,新医師臨床研修制度と医局制度の崩壊による地域医療の混乱について,日医の見解を質した.
 橋本信也常任理事は,新医師臨床研修制度について,種々の問題点を一つひとつ適切に対応しなければならないとした.会内の日医生涯教育推進委員会でアンケート調査を検討しているとし,協力を求めた.さらに,臨床研修修了後の医師の教育は,プロジェクト委員会で検討中であり,専門医との関連は,学術推進会議の答申を参考に対応を考えたいと説明した.
 次に,医局制度の崩壊については,新医師臨床研修制度導入前から,「金銭と人事の不明朗さ」や「医師の名義貸し問題」が原因で医局廃止の動きが出始め,他方で大学病院が講座の壁をはずし,診療科別に教育と診療を行うシステムに移行する改革の波が起きつつあると説明.地域への医師派遣は,各地域医師会が,大学病院などとの連絡協議会等に積極的にかかわってほしいと述べた.
 つづいて,地域医療の混乱については,土屋常任理事が,医師不足・偏在など,種々の要因が絡み合っているとし,日医は,その具体的対策として,(1)ドクターバンクの全国ネットワーク化(2)「女性医師バンク(仮称)」の運営受託(3)新医師臨床研修制度のプログラム改善の提言(4)医療法上の人員配置標準の撤廃要求等,短期的・長期的方策を組み合わせつつ,着実に実施していきたいとした.
 (二)診療報酬の消費税損税の実態調査の実施を求める石川県医師会からの要望に対しては,三上裕司常任理事は,(1)昨年春四病協の協力を得て消費税の実態調査を実施したところ,多くの医療機関には,消費税による損税が発生していたが,益税となっているところも一部にあることが分かったこと(2)その後,日医の方針を決定するために,A(1)会員を対象として,社会保険診療報酬に係わる消費税については,非課税からゼロ税率ないしは軽減税率に改めることの是非を問うアンケート調査を行い,八八%の賛成回答を得たこと─などを報告.この調査結果をもとにして,すでに政府与党等に対して消費税による損税解消に向けた活動を展開していることを明らかにした.
 (三)「日医執行部・各都道府県医師会の日々の努力,そして,署名活動等多くの国民の協力を得たにもかかわらず,不本意な結果に終わったことを反省し,日医執行部の責任を問う」との佐賀県医師会からの問いには,植松会長自らが回答.
 質問内容は,(1)医療制度改革大綱・中医協委員の団体推薦制廃止(2)日医独自のビジョン・グランドデザイン等の表明(3)日医の虚実(4)植松会長と厚生労働大臣との会談での新聞報道(5)「大綱」における高齢者負担増・診療報酬引き下げ─などについて多岐にわたり,植松会長はその個々について,十分な時間を割いて,詳細に説明を行い,理解を求めた.
 そして,最後に「責任」について言及し,「現在の厳しい状況のなか,私なりに努力をさせていただいている.目下,診療報酬改定作業が進められており,今ここで放棄するわけにはいかない.今後とも,この責任を果たさせていただきたい」と答えた.
 (四)沖縄県医師会の中医協委員見直しに関する日医の対応を問う質問には,松原謙二常任理事が,まず,「小泉首相の指示により,突然,中医協委員の団体推薦制廃止が提案されたが,日医としても早急に対応した結果,最終的に『医療制度改革大綱』には,委員構成を公益側六,診療側七,支払側七とし,委員任命に当たっては地域医療を担う関係者等の意見に配慮する規定を設ける旨の文言が盛り込まれた」とこれまでの経緯を報告.今後は,「通常国会に提出される法案の中身がどのようなものになるのかを注意深く見守っていく必要がある」と述べた.
 また,植松会長は,前述の“地域医療を担う関係者”とは日医を示すものであるということが分かるような法案となるように,働き掛けを行っていくとの補足説明を行った.
 (五)保険者がレセプト審査機関を選択できるようにするとの案が,厚労省の「医療制度構造改革試案」のなかに盛り込まれたことに関する福岡県医師会の質問には,松原常任理事が回答.この案は,規制改革・民間開放推進会議の強い要望を受けて盛り込まれたものであるが,日医が強く反対したことによって,現在,その案は表から消えていると説明した.
日医会館ホールに集められた署名簿の山
 (六)署名運動について,福岡県医師会から質問があった.
 松原常任理事は,「署名運動と国民集会の時期については,国民全体が運動に参加し,最大限の力を結集できるように時期を見定めていたつもりである.厚労省試案で,初めて公式に高齢者の自己負担増,保険免責制が提案されたので,それに強く反対する運動を行い,実際に保険免責制の導入については退けることができた.日医が二千万に近い大規模な署名運動を行っていることは,さまざまな折衝の場面で十分に生かされている.さらに今後,状況を見極めて有効に活用していきたい」と回答を行った.
 (七)富山県医師会の要望書に対する日医の取り組みへの質問には,櫻井秀也副会長が回答.「いただいた要望は,必ず会長・副会長以下常任理事が全部確認しているが,確かに従来一つひとつの要望には回答してこなかったことを反省している」とし,「診療報酬改定等といった大きな問題への回答は難しい面もあるが,今後,何らかの対処をしていくよう努力したい」と述べた.
 (八)埼玉県医師会は,厚労省の医療改革推進本部が示した,介護療養型医療施設の廃止の方針は,低医療費,低介護費政策であると指摘.この問題に対する,日医の考えを質した.
 野中博常任理事は,本件に関する県医師会の認識は,日医も共有していると述べたうえで,介護療養型医療施設の廃止の方針に関しては,反対の方向で活動を行っていると説明した.
 また,野中常任理事は,「厚労省からは,介護給付費分科会においても,廃止に係る具体的な提案はされておらず,廃止がすでに決定している段階にはないと考えている」と,日医の認識を示すとともに,「今後,社会保障審議会医療部会等で本件が適切に検討され,それに基づく具体的な提案が厚労省からない場合,日医としては,了承できない」と,反対の姿勢を改めて強調した.
 (九)民間保険の利活用についての日医の見解を問う岡山県医師会の質問には,松原常任理事が,「政府が考えているように公的保険の守備範囲が縮小され続ければ,国民は民間保険に入らざるを得ない状況になりかねない.そのようなことが起きないよう,日医はこれからも国民皆保険制度を守るための運動を続けていく」との考えを示した.

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