日医ニュース
日医ニュース目次 第1067号(平成18年2月20日)

勤務医のページ

平成17年度全国医師会勤務医部会連絡協議会
「Ambitious! 勤務医」をテーマに

 平成十七年度全国医師会勤務医部会連絡協議会が,日医主催,香川県医師会担当により,メインテーマ『Ambitious! 勤務医』とし,昨年十月二十二日,高松市の「かがわ国際会議場」において開催され,四十六都道府県から三百二名の参加者があった.
 協議会冒頭の挨拶のなかで,植松治雄会長は,「本来の医療改革は,いかに安心して良質な医療を平等に国民に提供できるかということである.今進められている改革は,いかに医療費を抑制するか,その負担を国民にどう転嫁するかのみである.今後は,全医師が国民医療を守るためどうあるべきかを論じ,行動しなければならない.本会で,大いに議論をして新たな結束力を生み出していただきたい」と述べた.
 つづいて,森下立昭香川県医師会長が,「開業医,勤務医の枠を越え,共通の理念と目的意識を持ち,医師会活動を行う必要がある.医師の偏在や過重労働は,財政主導の医療政策に原因があり,自分自身の問題として強く関心を持つべきである」と挨拶した.

特別講演(一)

 植松会長が,「勤務医と医師会」と題して講演.そのなかで,わが国の医師数と日医の会員構成について触れ,「医師不足や偏在が問題となっているが,医師総数は年々増加し,診療科別(小児科,産科等)の不足も国全体で見れば危機的状況ではない.第五次医療法改正で,小児科や産科の減少問題をカバーするためには,緊急避難策も考えざるを得ないが,長期的には疑義を感じている」とした.
 また,「日医では医療の安全と質の確保に努力しているが,世の中に十分認められずに医療改革が進められている.財務省案には,公的保険の見直しや診療報酬の引き下げもあり,日医としては,厚生労働大臣に医療費についての要望を出している.あらゆる疾病に対応するには,経済指標に基づく規制は絶対に許されない.医療費をただ下げる短期的な改革でなく,中長期的な活動が重要であり,この先,国民の負担増や,保険の足切,高齢者負担の増率などが出てくれば,混合診療反対時のように,国民運動を展開する」と今回の改革の危険性を強調した.

日医勤務医委員会報告

 池田俊彦日医勤務医委員会委員長より,「全医師数は,二十六万二千六百八十七名,日医会員十六万二千十五名,うち勤務医七万六千二百二名(四七・〇%)であり,昨年に比し微増.都道府県医師会単位では,八万八千七百四十人の勤務医数で,これも昨年より少し増えている.昨年度は,日医会員は千六百八十四名(一・一%),勤務医は千二百十一名(一・六%)増加した.都道府県勤務医部会の設立状況は,全国二十八県で設立済,一県にて設立予定,その他の十八県では設立予定はない」との報告があった.

次期担当県挨拶

 次期担当県である吉原忠男埼玉県医師会長から,次年度の協議会は平成十八年十一月四日(土)パレスホテル大宮での開催を予定しているとの案内があった.

香川県勤務医アンケート調査報告

 阪本晴彦香川県医師会理事が,県内には,九郡市医師会と香川大学医師会があり,医師数は二千三百三名,勤務医数は千五百七十六名で,今回の八百八十九名(回答率五六・四%)のアンケート調査の結果,(1)患者本位の診療を心掛けようとする反面,十分な社会的評価を得られていないと感じている(2)若年層の日医未入会が多く,情報不足が原因と考えられること等が明らかとなり,今後,広報活動を強化する必要性があると報告した.

特別講演(二)

 「香川発“希少糖”の医学への応用と産学官連携」と題して,徳田雅明香川大学医学部細胞情報生理学教授が講演を行った.「これまで“希少糖”は見向きもされていなかったが,今後,生活習慣病やがん細胞,活性酸素産生の抑制など,医学面での活用が大いに期待されている」と述べた.

シンポジウム

 「地域医療の未来と勤務医」をテーマに,久保文芳内海病院長が「香川県における離島医療の軌跡と未来像」,塩谷泰一徳島県病院事業管理者(前坂出市立病院長)が「ある自治体病院の再生への軌跡と未来像」,土光莊六さぬき市民病院長が「市町村の合併と自治体病院の未来像」,大原昌樹綾南町国民健康保険陶病院長が「医療・保健・福祉の地域完結型総合病院の未来像」,千田彰一香川大学医学部総合診療部教授が「大学病院の地域医療に果たす役割」と題して,それぞれ,香川県内の離島・中山間地から大学まで,いろいろな地域医療に携わる立場から,勤務医を取り巻く最近の諸情勢の変化,悩み,問題点などが発表され,今後の日医からのサポートを強く要請した.
 その後,三上裕司常任理事が,各発表に対し,日医の意見と総括を述べた.
 フロアからは,香川大学医学部で導入されているDPC,香川県内における病病連携,勤務医の過重労働,新医師臨床研修問題等について,活発な意見交換が行われた.

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