日医ニュース
日医ニュース目次 第1078号(平成18年8月5日)

平成19年度予算の概算要求で,唐澤会長ら役員が政府与党に要望
「健康で文化的な」生活を保障する予算の実現を

 政府が七月七日に閣議決定した「骨太の方針二〇〇六」の歳出・歳入一体改革で示された方針では,社会保障費が,国庫ベースで,今後五年間に一兆一千億円の歳出削減を行うことが明記されている.こうした状況を踏まえ,唐澤会長らは,厚生労働省,政府与党などを訪れ,平成十九年度予算の概算要求に対する要望書を手渡した.

川崎厚労大臣(左から3人目)に
要望する唐澤会長ら役員
 唐澤人会長,竹嶋康弘・宝住与一・岩砂和雄各副会長,羽生田俊・今村定臣・内田健夫・中川俊男各常任理事は,七月十九日,東京・永田町の自由民主党本部を訪れ,武部勤幹事長,中川秀直政調会長,久間章生総務会長らと面会.平成十九年度予算の概算要求に対する日医としての要望書(全文は別記事参照)を手渡し,説明を行った.
 唐澤会長は,「日本医師会は,国民の生命と健康を守る医療担当者として日夜努力を重ねている.しかし,現在のわが国の状況を見ると,自殺者が非常に多いことや,親がわが子を殺してしまうような悲惨な事件が後を絶たず,人心がすさんでいる.要望書には,国民が安心して生活できる環境を作り出すために必要と思われる項目を列挙したので,ぜひとも取り上げていただきたい」と訴えた.
 つづいて,竹嶋副会長が,重要政策課題として,以下の四項目について説明と要望を行った.
 一,憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」を実現するためには,財政主導の医療費抑制策を見直すことが,不可欠の課題である.いつでも,だれでも,どこでも安心して良い医療を受けられる国民皆保険制度の堅持こそが,「健康で文化的な最低限度の生活」実現の大前提になる.混合診療の導入,患者負担増などによって,公的責務を縮小することは絶対にしてはならない.
 二,経営基盤の安定こそが医療安全の推進に不可欠である.テレビ報道によれば,私立病院の抱える「患者一部負担金の未収額」が平均一千万円になっている.これらの現状を重く受け止め,検討して欲しい.
 三,安心して子どもを産み育てるための環境整備の一つとして,「分娩に関連する脳性麻痺に対する障害補償制度」の創設を強く要望する.この問題は,医師に過失がなくても誕生する,新生障害児に対して,きちんと制度的に補償しようとする考え方で,障害児にとっても産科医師にとっても安心できる.ぜひ法案化して欲しい.
 四,医師および看護師等の偏在解消と良質な医療を提供する体制の確保充実策として,日医でも今年度から,厚労省の委託事業として,「女性医師バンク」を立ち上げることになっているが,これだけでは不十分であり,たとえば,へき地・離島における医師,医療機関支援を積極的に進めて欲しい.
 また,宝住・岩砂両副会長,および担当の各常任理事から,個々の要望項目について補足説明する意見が述べられた.
 これらの要望に対して,武部幹事長は,「制度の改革や政策の変更だけでは解決できない問題もあると思うが,趣旨は十分に分かった.これからも手を携えて,良い医療の推進に協力したい」と答え,中川政調会長は,「ドクターヘリの活用などで解決できる問題もあると思うので,積極的な導入を考えたい」と発言した.また,久間総務会長は,「終末期医療などでの高額医療費の問題については,倫理的な問題もあるが,医師会としても十分調査をして欲しい」と述べた.なお,久間氏の発言に対しては,中川常任理事がすかさず,「高額医療に要する相当部分は材料費と薬剤費用であり,医師の技術料が高額なのではない」と発言する一幕もあった.
 その後,東京・信濃町の公明党本部を,唐澤会長以下全役員が訪れ,冬柴鐡三幹事長,坂口力副代表,井上義久政調会長ら党幹部からのヒアリングに応じた.
 七月二十一日には,唐澤会長,竹嶋・岩砂両副会長,羽生田・飯沼雅朗,木下勝之・内田各常任理事が,川崎二郎厚労大臣を訪ね,申し入れを行った.唐澤会長のあいさつ,竹嶋副会長の概略説明の後,木下常任理事が,「分娩に関連する脳性麻痺に対する障害補償制度」について,また,内田常任理事が,医師確保の問題と,かかりつけ医の重要性,在宅医療の推進などについて,説明を行った.(写真)

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