日医ニュース
日医ニュース目次 第1083号(平成18年10月20日)

勤務医のページ

医療変革期における地区医師会のあり方
―勤務医の,医師会を通した社会参画のために―

医師会の三層の組織構造

 医師会の若い勤務医(研修医を含む)対象の入会オリエンテーションを行う際,「日医,都道府県医師会,郡市区医師会の違いは何か?」「なぜ,三つもの医師会に入会を勧められるのか?」と,よく質問される.
 これに対して,私は,「医師会が会員の福利厚生を主な目的としているとすれば,一つの中央組織とその地方支部組織で十分であろうが,公益法人の役割とその目的を適切に果たすためには,三つの独立した法人組織で,それぞれの高い理念を持った活動を,お互いに密接な連携を持ちながら推進することが有用である」と説明を加えるが,今ひとつ理解していただきにくいようである.

大きな変革期の地方行政と医師会

 一方,国と地方行政の関係が,昨今,大きな変革期を迎えている.国の財源が,保健・医療分野を含め,圧縮のうえ,徐々に地方へ移譲されつつあり,さらに,今回の第五次医療法改正においては,地域医療計画も保険医療財政も考慮しながら,都道府県において独自に策定するように方向付けられた.また,保健・医療行政のかなりの部分が,都道府県から市町村へ権限委譲された.住民への健康・福祉政策の充実は,各自治体の取り組むべき中心的課題となっている.
 ここで,に全国各都道府県における地区(郡市区)医師会数を,二次医療圏域数ならびに市町村数と対比して示した.まず,救急医療をはじめとする地域医療の大きなまとまりである二次医療圏と郡市区医師会との比率(「二次医療圏包括率」)は,平均〇・四四(〇・一四〜一・〇)にとどまり,郡市区医師会がもう少し集合し二次医療圏域に近づくことで,都道府県の医療行政に対して,政策提言機能を高めることができると期待される.
 一方,合併が進んだ市町村行政単位に対して,郡市区医師会の集約は遅れており,会員数百名未満の比較的小規模の医師会が全国の約四九%を占めている.これらが集合して,いくつかの市町村に対応することも,守備範囲が増加しつつある市町村の保健・福祉行政への連携強化に役立つと考えられる.

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地区医師会の再編成と勤務医に期待される役割

 地区(郡市区)医師会の再編成は,地域保健・医療・福祉への医師会の政策提案能力を高めるとともに,勤務医のみならず地域住民にとっても医師会活動が,より分かりやすいものになろう.加えて,勤務医の医師会内各種専門委員会への参画,役員への登用等を積極的に行うことができれば,医師会会務への勤務医の役割が一層推進されるものと期待される.
 さらに,転属の多い勤務医にとっては,格差が大きかった地区医師会の会費が再編成によって徐々に平準化へ向かうであろうことも,入会しやすさにつながるのではなかろうか.
 昨今の医療制度変革のスピードはきわめて速く,これらの変化に即応していくために地区医師会の果たすべき役割は非常に大きく,その目的達成のためには,勤務医の医師会活動を通した社会参画が重要な鍵を握ることになろう.

(日医勤務医委員会副委員長 渡辺 憲)

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