日医ニュース
日医ニュース目次 第1088号(平成19年1月5日)

プリズム

高齢化社会

 団塊の世代が,いよいよ高齢者の仲間入りの時を迎えることになった.この時が来ることは,早くから問題視され,さまざまに言われてきたが,現実を想定した心ある対策が練られているとは言い難い.高齢者切り捨てにならなければよいが……と懸念される.
 少子傾向も画期的な抑止方策がなく,まだまだこの先続きそうである.昭和四十一年丙午の時の出生数が百三十六万人と,その前後の年に比べて非常に少なく,巷の話題になったことは,今考えると夢のような話である.今や,死亡者数が出生数を上回り,人口減少の時代に入った.
 場所(地方)によっては,住民が老人ばかりで若者が少なく,医療・福祉費用がかさみ,対策に苦慮している.政府・厚生労働省は保険者を都道府県別に再編・統合し,医療費・介護費の適正化に目標値を設定して,成績の上がらないところにはペナルティーを課すという.子を産み育て,都会に送り出し,残された老人集団が医療費を使い過ぎるからペナルティーとは,考えてみればおかしな話だ.働き手が多く,景気の良いところ(都会)も,年老いた親があっての結果で,日本全国一体に考えて当然と思う.
 都会に出た若者が故郷の親に感謝の気持ちを込めて仕送りする.町が過疎の地を支援する.これは当然のことではないのか.「美しい国」日本を掲げる若き安倍総理に,大いに期待をしたいのだが…….

(北辰)

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