日医ニュース
日医ニュース目次 第1093号(平成19年3月20日)

平成18年度日医医療情報システム協議会
「より良い国民医療へ向けたITの活用―医療の現場からの声を国民医療へ―」をメーンテーマに

平成18年度日医医療情報システム協議会/「より良い国民医療へ向けたITの活用―医療の現場からの声を国民医療へ―」をメーンテーマに(写真) 平成十八年度日医医療情報システム協議会が,二月十七,十八の両日,日医会館大講堂および小講堂で開催された.
 一日目は,中川俊男常任理事が総合司会となり,本協議会が,全国医療情報システム連絡協議会(全医協)と地域医療ネットワークシステム研究会(COMINES)を前身として昨年度に発足,今回が第二回目の開催になると説明した.
 唐澤人会長はあいさつで,「政府のIT戦略本部は,医療健康情報の全国規模での分析・活用や,レセプトオンライン化等の施策を打ち出したが,医療本来の目的から乖離した医療費抑制策につながることがあってはならず,その前に解決されなければならない問題が山積している」と表明.さらに,この協議会を通してIT化が推進されることを期待すると述べた.
 つづいて,鈴木聰男協議会運営委員会委員長(東京都医師会長)が,「EHR(Electronic Health Record)は,諸外国では,すでに国家的プロジェクトとして進んでいる.わが国でも,医師会主導で推進し,国民に役立つ医療情報システムを確立したい」とあいさつした.
 その後,土田康彦氏(アクセンチュア(株))が,基調講演「先進諸国のEHR」で,EHRとは,医療情報共有ネットワーク化のためのツールで,患者・受診者中心の総合的な健康・医療のための一元化された情報基盤であると説明.先進諸国では,かかりつけ医を中心とした情報システム基盤を構築することが,潮流となっていると強調した.
 セッション「日本における理想のEHRはどうあるべきか」では,まず,吉原博幸京大教授が,「電子カルテを世界で一つにまとめる」の演題で,熊本・宮崎・東京・京都等での地域ネットワークを紹介し,全国版の医療情報センターで統合する考え方を説明した.
 高林克日己千葉大教授は,「日本のEHRの今後」として,将来的には,国全体で「日本病院」となり,生涯一カルテとなるべきであると述べた.
 また,三原一郎山形県医師会常任理事は,「Net4Uをエンジンとした山形県医療情報ネットワーク」で,鶴岡地区における,病院,診療所,介護施設,検査機関等の連携を紹介.医療情報のIT化は,地域単位で考えるべきであり,地域の医療連携ネットワークの構築には,人的ネットワークの確立が最大の課題であると指摘した.
 最後に,足立光平兵庫県医師会常任理事は,「地域からのEHRシステム」で,特定健診データとレセプトデータが突合されることによって,管理医療の危惧が生じるとし,かかりつけ医と患者を中心とした生涯健康情報管理に持っていくべきであると強調した.
 さらに,フリーディスカッションでは,EHRの規模,財源の問題等を含め,活発な討論が交わされ,一日目を終了した.
 二日目は,午前に,(一)セッション「日レセ(ORCA)をめぐって」が大講堂で,(二)事務局情報担当者セッション「医師会事務局の情報化は進んでいるか」が小講堂で行われた.
 (一)では,(1)ORCAプロジェクトの現状と将来展望(上野智明日医総研主任研究員)(2)日レセをめぐって(山本学メックコミュニケーションズ)(3)当施設におけるORCA運用の経験(新谷一経千葉県山武郡市医師会・東葉クリニック)(4)医師会としてのORCAサポート(宮本大典熊本市医師会理事)(5)ORCA(日レセ)今までそしてこれから何処へ(小竹原良雄島根県医師会情報委員会委員)(6)日レセから岐阜県医師会病診連携用ソフトへのデータ取得の実現報告(川出靖彦岐阜県医師会副会長)―の報告後,フリーディスカッションが行われた.
 午後は,(1)地域連携六事例(長崎県大村市・兵庫県加古川市加古郡・和歌山県伊都・長崎市・山形県鶴岡地区・札幌市の各医師会)(2)診療支援二事例(富山市・岐阜市の両医師会)の事例報告とフリーディスカッションが行われ,各医師会におけるIT化の現状とさまざまな取り組みが紹介され,白熱した議論が交わされた.
 最後に,小森貴運営委員会副委員長(石川県医師会長)のあいさつで閉会した.
 また,協議会の模様を都道府県医師会向けにTV会議システムにより映像配信した.十七・十八両日の参加者は,総数四百三十七名(講師等関係者含む)であった.

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