日医ニュース
日医ニュース目次 第1093号(平成19年3月20日)

勤務医のひろば

「勤務医よ,もっと病診連携を大切にしよう!」

 連携なくして,今日の医療は成り立たない.当然のことであるが,遅々として進まない面があるのも実感である.最近の医療は地域完結型と言われ,たとえ大病院といえども,一病院での完結などあり得ない.特に,急性期病院では,転院先の病院・診療所や在宅への誘導も必要であるが,これが現実には,なかなか厄介な作業である.
 そこで,病院と病院,病院と診療所などなど,さまざまな連携が必要となる.私は,五年前から那覇市医師会の病診連携委員会の委員長を仰せつかり,定期的に会議を開いている.ちなみに,私は那覇市医師会の会員ではなく,別の地区医師会に属している.さらに,また別の地区医師会に属している近隣市の病院の病診連携担当者が,この委員会には多く属している.行政の区割りではなく,患者の医療圏を見据えた準広域な会議である.また,医師だけではなく,看護師・ケースワーカーなど,多くの職種の参加もあり,会議では毎回有意義な議論ができている.
 診療所との連携のみに絞ってみると,病院と診療所の連携は格段に良くなっている.診療所の医師にも,その診療科や年齢などで,連携に対してはかなりの温度差がある.しかし,病院の勤務医のなかにも,連携の重要性や意義を理解せず,おざなりの報告書で済ませたり,ひどい場合は報告書すら書かない医師がいたりすることには,腹立たしくなる.患者中心の地域完結型医療を目指さなければならないのが分からないのだろうか.
 私たちの地域だけのことではないと思うので,紙面を借りて強く訴えたい.人と人との連携,顔の見える連携,誠意のある文書でのやりとりなど,地道な努力が良好な連携をつくり出し,ひいては地域医療の質を向上させるということを.

(那覇市立病院総括外科部長兼地域医療連携室長 川野幸志)

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