日医ニュース
日医ニュース目次 第1100号(平成19年7月5日)

日医定例記者会見

6月13日
「コムスン」の介護事業所指定取り消し等について

 中川常任理事は,コムスンの介護事業所の指定取消し等の問題について,日医がかねて主張してきた,株式会社が医療・福祉を「経営」することの問題点が現実化したものであり,「株式会社の参入により,医療・福祉の分野に営利追求型の市場原理主義を持ち込むことの誤りが明らかになった」との見解を示した.
 同常任理事は,「株式会社の効率性追求が行き過ぎると,サービスの低下や採算の合わない地域からの撤退など,利用者へ直接被害が及ぶことになる.一日でも介護サービスの提供が滞れば,重大な危険を伴う利用者がいることを,介護事業所は常に認識しなければならない」とした.
 また,二〇〇五年十月時点で,介護サービスを行う全事業所に占める営利法人立の割合は三三・五%であること,一方,二〇〇〇年四月から〇六年十二月までの間に指定取消となった事業所のうち六六・九%が営利法人立という結果となっていることを資料(図2)で示し,「これらからも,営利性や効率性の追求がもたらす弊害を垣間見ることができる」と述べた.

日医定例記者会見/6月13日/「コムスン」の介護事業所指定取り消し等について(図)

 そのうえで,「今回の一連の事件におけるコムスンの責任の重大さは言うまでもないが,併せて『福祉の市場化』を容認した国の責任も問われてしかるべきであり,今こそ国は,医療,保健,福祉(介護)分野における市場原理主義導入の誤りを改めて認識し,医療分野における株式会社参入や安易な市場化テスト導入への流れを転換すべきである」と,国の政策を非難した.
 さらに,コムスンが当初,グループ会社間の別法人への事業譲渡により,対応を図ろうとしていたことにも言及.「医療法人の場合ではあり得ない,こうしたグループ内での事業譲渡を営利法人に認めることになれば,実質的にダブルスタンダードが形成され,開設主体の違いによる差別につながる.厚生労働省は本件に関する方針を明確に説明すべき」と主張した.

このページのトップへ

日本医師会ホームページ http://www.med.or.jp/
Copyright (C) Japan Medical Association. All rights reserved.