日医ニュース
日医ニュース目次 第1101号(平成19年7月20日)

大学病院の医療に関する懇談会(6/28)
質の高い教育・医療のためには医療費財源の確保が必要

大学病院の医療に関する懇談会(6/28)/質の高い教育・医療のためには医療費財源の確保が必要(写真) 大学病院の医療に関する懇談会が,六月二十八日,日医会館で開催された.
 冒頭,あいさつに立った唐澤人会長は,“経済財政改革の基本方針二〇〇七”について,日医から関係者への働き掛けによって,素案・原案時点にはなかった表現が追加された経緯に触れたうえで,「各地域で現実に起こっている医師不足・偏在,へき地医療等の問題を政府も明確に認識したようであり,今後も具体的な提言を行うなど,総合的・包括的に医政活動を続けて流れを変えていきたい」と述べた.
 次いで,大橋俊夫全国医学部長病院長会議会長が,大学病院では,法人化によって診療と教育・研究の板ばさみで中間指導層がいなくなる事態が発生,医育機関としての大学の存亡にかかわることから,卒前・卒後の一貫性ある医師養成に関する提言と要望を関係省庁へ提出することを考えていること,また,“緊急医師確保対策”として特別奨学金制度による医学部定員増が言われているが,質の高い医師育成には経済的裏付けが必要であること等を説明,日医とも協力しながら,国民や行政府の理解を得て改革を進めていきたいとした.
 議事に入り,(一)医師の確保,(二)診療科標榜,(三)総合医─について協議した.初めに,内田健夫常任理事が,(一)〜(三)について,「医師偏在・不足対策に対する日本医師会の考え」などの資料を示しつつ日医の立場を説明した.
 唐澤会長は,(三)に関連して,現在,会内の学術推進会議,生涯教育推進委員会,関連三学会と連携しながら,日医における認定医のカリキュラムや評価基準等の検討を進めていることを説明し,理解と協力を求めた.
 また,中川俊男常任理事は,「諸問題の原因は,国の長期にわたる医療費抑制策にあり,新たな医療費財源の確保が必要だ」と述べ,さらに,医政活動等の重要性を強調した.
 議論のなかでは,「患者満足度を同時に認識する必要がある」「大学病院の医師派遣機能の復権を」「大学病院等でも研修内容を充実させ,魅力あるプログラムを示す努力を」などの意見が出された.議論を通して,双方は,教育と医療を守るために共同歩調をとっていくことを確認.
 最後に,澤充全国医学部長病院長会議副会長が,地域の医師会と大学病院との密接な連携が,今後一層重要になると総括した.
 なお,全国医学部長病院長会議からは,大橋会長(信州大医学部長),澤副会長(日大板橋病院長),吉村博邦顧問(北里大常任理事),布施勝生名誉顧問(自治医大名誉教授),小山信彌東邦大教授,下條文武新潟大教授が,日医からは唐澤会長,竹嶋康弘副会長,内田・中川両常任理事が出席した.

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