日医ニュース
日医ニュース目次 第1102号(平成19年8月5日)

視点

国民の声,患者の不安,医師の苦悩に応える広報を  

 二〇〇六年十月,日医はTVCMの放映を始めた.広報を最重要部門の一つに位置付けた唐澤執行部が発足して半年.日医の姿勢を世に問い,その意気込みを示すものであった.
 TVCMは,「高齢者医療編」「学校保健編」「医師の心ない一言編」の三テーマ.今年の三月に,その効果を調査したところ,いずれのテーマについても,TVCMを視聴した人の約九割が関心を持ったと回答し,日医自体に関心を持ったという人も八割近くあった.TVCMを通じて,日医への関心を高め,国民と理解し合うという点において,その一歩を踏み出すことができたと思う.今後は,放映する時間帯や回数を増やすなどの改善すべき課題に取り組まなければならない.
 調査結果からは,年齢や性別によって受け止め方に明らかな違いがあることも判明した.TVCM「医師の心ない一言編」は,女性の八割以上が医師会に関心を持つことにつながったが,男性では七割にとどまった.「高齢者医療編」では,四十歳代以上で「身近な問題」として高い関心が持たれていた.他方,日医に寄せられた医師たちの評価はさまざまであった.
 昨年,日医総研が行った「日本の医療に関する意識調査」でも,立場による受け止め方の違いが明らかになっている.例えば,「個別状況に応じた医療が行われているか」という問いに対して,「そう思う」と答えた比率は,国民一六・一%,患者二三・五%,医師四二・八%であった.医師としては,この乖離を謙虚に受け止めたいが,同時に,患者と十分なコミュニケーションをとる余力がなくなり,医師が苦悩している医療現場の実態が浮かんでくる.
 医療についての,国民,患者,医師の思いはさまざまである.それが不安や苦悩であれば,正面から向き合って解消すること,尊重すべき意見であれば改善の努力を開始すること,立場の違いであれば,その背景を理解し合うこと,それも日医の重要な責務であろう.
 そのためにも,日医の視点を,リアルタイムに,分かりやすく,信念を持って,継続的に国民,患者,医師,医師会員に示していきたい.

(常任理事・中川俊男)

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