日医ニュース
日医ニュース目次 第1116号(平成20年3月5日)

緊急記者会見 竹嶋副会長
医療費抑制政策の方向転換を求める

緊急記者会見 竹嶋副会長/医療費抑制政策の方向転換を求める(写真) 平成二十年度診療報酬改定に関する答申が,二月十三日に開催された中医協総会で取りまとめられたことを受けて,同日,竹嶋康弘副会長,鈴木満・中川俊男両常任理事は,厚生労働省で緊急記者会見(写真)を行い,日医の見解を明らかにした.
 竹嶋副会長は,今回の改定を振り返って,「産科,小児科,救急医療における病院勤務医に対する支援が,地域医療再生のための喫緊の課題であると考えていた.そのため,診療報酬本体の引き上げ分は,早い段階から,病院勤務医の過重労働の緩和に充当してもらうことを主張するとともに,診療所に大きな影響を与えることを危惧しながらも,検査判断料の引き下げ,軽微な処置の初再診料への包括化を了承することとした」と述べた.そのうえで,今回の支援策に関しては,「病院勤務医が抱える問題の解決にはほど遠いが,その対策の一助になってくれればよいと考えている」とした.
 病院勤務医の支援策の財源として,診療所の再診料の引き下げが提案されたことについては,「全科に影響を及ぼすものであり,その引き下げが実施されれば地域医療を支える医師たちの意欲が損なわれ,地域医療の崩壊にもつながる恐れがあることからも,強く反対した」と説明.「議論の結果,再診料の引き下げが回避されたことは評価している」とした.
 その一方で,外来管理加算の見直し,デジタル映像化処理加算の廃止が行われることには,「長年の医療費抑制政策によって,診療所の経営も厳しい状況にある.そのことを考えると,まさに苦渋の選択であった」とし,その選択への理解を求めた.
 今後の日医の対応については,第一に,医療費抑制策の根本的な方向転換を求めていくとの考えを明示.そのためには,医師の増加も含めた医療提供体制の再構築,それを実現可能にする,医療費の大局的な見地からの見直しが必要になるとし,引き続き,社会保障費の国庫負担分年二千二百億円の機械的削減が,来年度以降も続くことのないよう,政府与党に対して働きかけを行っていくとした.
 また,病院,診療所の役割・機能分担について,国民の理解を深めるためにも,診療報酬のあるべき姿についての検討を始める必要があると指摘.日医としても,初診料,再診料など医師の基本的な技術料の評価に関する中医協での議論において,積極的に意見を述べていくとの考えを示した.
 さらに,日医でも,今回の改定が医療現場に与える影響について,その実態の把握・検証を早期に行うとの意向を明らかにし,「是正が必要との結果が得られた場合には,その見直しを求めていく」とした.

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