日医ニュース
日医ニュース目次 第1122号(平成20年6月5日)

後期高齢者診療料についての日医の見解とアクション

 二〇〇七年五月,厚生労働省は唐突に標榜医としての総合科医構想を示した.これに対し,日医は,「患者の医療へのアクセスポイントを減少させるもので,地域格差を生じさせる」「国が『総合科医』を認定することは官僚の権益を拡大し,地域医療を国が管理統制するということにもなり,最終的には人頭払い制につながる恐れもある」など,その問題点を強く指摘した.
 その後,二〇〇七年十月十日,社会保障審議会の後期高齢者医療の在り方に関する特別部会で,「後期高齢者医療の診療報酬体系の骨子」がまとめられ,主治医が後期高齢者を総合的に診る取り組みを進めるとされた.
 そして厚労省は,「高齢者を総合的に診る医師」「高齢者総合診療計画書」の案を中医協(二〇〇七年十一月二日,二十八日の診療報酬基本問題小委員会)に提示し,さらに総合的に診る医師は患者一人に対して一人であるとした.
 日医は,「厚労省の総合科医構想につながり,管理医療が強化される」「患者が『いつでも,どこでも』受診出来なくなり,フリーアクセスが制限される」(十一月二日基本小委),「主治医は複数でいつでも変えられるべきであり,患者一人に主治医一人ではなく,診療科も限定されるべきでない」(十一月二十八日基本小委)と,一貫して反対してきた.
 このような議論を経て,七十四歳以下の「生活習慣病管理料」に当たるものが七十五歳以上にはないため,この延長としての「後期高齢者診療料」の創設に至った.「総合」という表現が排除されたことや,特別部会の骨子にあった「主治医」という表現が「担当医」に変更されたことなどが,厚労省の当初の主張からの大きな修正点である.
 日医としては,今後も現場の実態把握に努め,中医協における検証結果も踏まえて対応を検討していく.もちろん,フリーアクセスの崩壊につながる動きが見られれば,断固修正を求めていく考えである.

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