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第1127号(平成20年8月20日) |

長野県医師会長 大西雄太郎

平成十八年度全国医師会勤務医部会連絡協議会が「勤務医のアンガージュマンを求める」をテーマに開催された.アンガージュマン(積極的な社会参加)は勤務医のみでなく,開業医の一般会員にも求められることである.
この春勇退された某郡市医師会長から,一通の手紙をいただいた.「任期中に会員の政治への関心を高めることが出来なかったことが心残りである.特に勤務医の政治への関心を高めることが,これからの医師会活動にとっては重要なことであると思う.この方面での今後の会長の活躍を期待する」と結んであった.
今,勤務医の環境は非常に厳しい.医療経営が保険制度下で営まれている現在,公的保険で国民皆保険を堅持するなら「医政なくして医療なし」である.
勤務医が政治に関心を持ち,公務員であろうがなかろうが,一個人として,家族に,仲間に,隣人に,自分の主張を語り,自らの環境の改善を訴えることこそ,勤務医不足の解決への一歩であることを自覚すべきである.
社会保障費の自然増に対して,毎年二千二百億円を削減する繰り返しが,医療現場の荒廃を加速させている.これを阻止すること.診療関連死の死因究明・再発防止に関する医療安全調査委員会(仮称)の設立等々,すべて政治である.政治に関心を持つことも,勤務医のアンガージュマンではないだろうか.
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