日医ニュース
日医ニュース目次 第1130号(平成20年10月5日)

視点

女性医師就労支援について─女性医師バンク100件達成─

 平成十二年以降,医師国家試験合格者に占める女性の割合は三〇%を超えて推移し,本年は,過去最高の三四・五%に達した.
 一方で,日本における女性の年齢階級別労働力率のグラフは,育児の時期に当たる三十歳代を底辺にM字カーブを描いており,特に三十代半ば以前の医師の半数以上が女性である産婦人科においては,日医総研の調査(平成十九年六月)でも,産婦人科女性医師の経験年数九年目〜十五年目,すなわち,自身の妊娠・出産・子育ての時期に,四八・三%が分娩取り扱い現場から離脱していることが判明している.妊娠・出産・育児等を契機に女性医師が離職することは,実働医師数の減少に直結する重大な問題であり,医師不足の一因ともなっている.
 女性医師に対する就労支援の推進は,マンパワーの確保はもとより,医師全体の勤務環境の改善にも直結する喫緊の課題である.
 本会の男女共同参画委員会では,日医における男女共同参画のための各種調査・提言,男女共同参画フォーラムの企画・開催,医師再就業支援事業への協力など幅広く活動している.昨年三月には,会内の勤務医委員会と共同して,日本医療機能評価機構に対して,病院の評価項目に,「子育て支援」や「休業後の再就業を支援」する仕組みがあることを加えるよう要望し,このたび,同機構の評価項目の改定作業により新たに評価項目に盛り込まれ,来年度より運用が開始されることになったのは一つの成果である.
 医師再就業支援事業の中核となる日本医師会女性医師バンクは,昨年一月の開設以来一年半が経過した.東西に設置したセンターには,医師であるコーディネーターが,求職者や求人施設からの相談に応じ,長期離職医師の再研修の支援,就業の斡旋(あっせん)や求人施設との連絡調整等を行っている.登録件数は順調に伸び,すでに就業実績は百件を達成している.
 さらに,医師再就業支援事業の一環として,求人(病院長,管理者)側に対する女性医師の勤務環境整備についての意識改革を促す講習会や,女子医学生,研修医等をサポートするための講習会等を開催しており,本年十一月には,男女共同参画委員会で行った院内保育所を含む医師就労支援の現況調査結果も踏まえ,新たに「保育システム相談員の養成・普及」について,都道府県医師会担当役員ならびに担当職員を招聘(しょうへい)して講習会を開催する予定である.
 これらの取り組みが,実効ある就労支援策として各地域に根付き,発展していくことが期待される.
 女性医師に対する実効ある就業継続支援・復職支援策が,医師全体の勤務環境の改善,ワーク・ライフ・バランスにつながる重要課題であることを改めて強調したい.

(常任理事・今村定臣)

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