日医ニュース
日医ニュース目次 第1136号(平成21年1月5日)

平成20年度家族計画・母体保護法指導者講習会
産科医療の現状と将来展望をテーマに

平成20年度家族計画・母体保護法指導者講習会/産科医療の現状と将来展望をテーマに(写真) 平成二十年度家族計画・母体保護法指導者講習会が,昨年十二月六日,日医会館大講堂で開催された.
 冒頭あいさつした唐澤人会長は,妊産婦が安心して子どもを産み,育てることができるよう,地域の実情に応じた医療提供体制を構築していくことが必要になるとの考えを示し,その実現に向け,さらなる協力を求めた.
 講習会では,まず,唐澤会長による講演「国民が求める最善の医療をめざして─地域医療崩壊から救う道─」が行われた.唐澤会長は,産科,小児科,救急医療の現況は危機的な状態にあるが,その主な原因は社会保障費の伸びの機械的な抑制にあるとして,その撤廃を強く求めるとともに,今必要なことは医療機能のさらなる強化にあると指摘.その財源については,特別会計を含めた国家財政全体の見直し,保険料率の公平化などによって捻出することが考えられると述べた.
 引き続き,シンポジウム「産科医療の現状と将来展望」が行われた.
 石川浩史神奈川県立こども医療センター産婦人科部長は,周産期救急受入機関紹介業務の一部を,神奈川県救急医療中央情報センターの非医療職のコーディネーターが担うことで,地域周産期医療システムの効率化を図っている県の取り組みを紹介.今後の課題としては,「収容先決定までの時間の短縮」「妊婦健診未受診への対応」などを挙げた.
 末原則幸大阪府立母子保健総合医療センター副院長は,大阪府における周産期医療のシステム化の状況を報告.今後は,地域の総合周産期母子医療センターなどに十分なスタッフを確保し,地域の医療機関での緊急症例や,医師不足の状況が発生した場合には,そこから専門医を派遣するシステムの構築を提案した.
 松田秀雄防衛医科大講師は,日本産婦人科医会が,全国の分娩取扱施設を対象に実施したアンケート調査の結果を基に,産科医師の苛酷な就労環境を説明.その改善策として,「ハイリスク加算の医師への還元」「当直後勤務の緩和」「女性医師の支援」「産科医師の増加政策」「適正な医師の配置」等の推進を求めた.
 栗林靖日本産婦人科医会幹事は,既述の日本産婦人科医会の調査結果から,「院内保育所は半数弱の施設にしかなく,病児の受け入れや二十四時間保育が可能な施設は一〇%前後」といった女性医師の厳しい就労環境を報告.その支援のためには,「妊娠・育児中の勤務の緩和の推進」「保育所の整備」「再就職プログラムの整備」「女性医師バンクの活用」等が必要であるとした.
 指定発言を行った宮嵜雅則厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課長は,国の周産期医療体制の確保に向けた取り組みを説明.現在,「周産期医療と救急医療の確保と連携に関する懇談会」で,今後の対応を検討中であるとし,今後も産科医療体制の確保と充実に向けた取り組みを積極的に実施していく意向を示した.
 その後の討議では,シンポジストと参加者との間で活発な質疑応答が行われ,講習会は終了となった.

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