日医ニュース
日医ニュース目次 第1137号(平成21年1月20日)

勤務医のページ

平成20年度全国医師会勤務医部会連絡協議会
『「考えよう新しい日本の医療と勤務医の未来」─今こそ求められる医師の団結─』をテーマに

勤務医のページ/平成20年度全国医師会勤務医部会連絡協議会/『「考えよう新しい日本の医療と勤務医の未来」─今こそ求められる医師の団結─』をテーマに(写真) 平成二十年度全国医師会勤務医部会連絡協議会(日医主催,千葉県医師会担当)が,『「考えよう新しい日本の医療と勤務医の未来」─今こそ求められる医師の団結─』をメインテーマとして,昨年十一月二十二日,浦安市内で開催され,全国から三百五十一名の参加者があった.
 唐澤人会長(三上裕司常任理事代読)はあいさつのなかで,「勤務医の処遇改善にはすべての医師が結集・団結する必要がある」と述べた.
 つづいて,藤森宗徳千葉県医師会長が,「医療崩壊が進むなか,医師不足問題や医療事故に対する環境整備,女性医師への職場環境整備,地域医療の連携・活性化につなげていくことに全力を尽くす」とあいさつした.

特別講演一

 木下勝之常任理事が,「医師法第二十一条の改正と医療安全調査委員会設置法(仮称)」と題して講演.
 病院の勤務医と診療所医師の共通の願いとして,医療事故死に対する刑事訴追の流れを変え,医療安全の向上と再発予防に資する組織の実現を目指すため,「医師法第二十一条」を改正し,警察に代わる届け出機関として医療安全調査委員会(仮称)を設置・実現することが不可欠であると述べた.

日医勤務医委員会報告

 池田俊彦日医勤務医委員会委員長より,医療界が直面している問題について,例えば総合医に関連した問題,医師法第二十一条関連の問題,新医師臨床研修制度の問題等々を集中的に協議し,何らかの合意した結論が得られれば,勤務医委員会の意見として提言してはどうだろうかと考えていると報告があった.

千葉県医師会勤務医アンケート調査および会費徴収方法に関するアンケート調査報告

 原 徹千葉県医師会理事による「千葉県医師会勤務医アンケート調査報告」では,まず,千葉県の特徴を統計資料で検討した結果を示し,そのうえで医療崩壊の主たる原因は医療費抑制政策であり,その結果勤務医問題が表面化したことを見失わずに問題点を整理することが急務であると考え,分析したと報告.
 また,守正英千葉県医師会監事からは,「各都道府県医師会および関東ブロック地区医師会会費徴収方法アンケート報告」がなされ,今後は日医・各都道府県医師会・各地区医師会の連携,入会費・年会費の問題点の洗い直し,勤務医の労働条件を含め,勤務医の処遇改善に関する積極的な活動等が重要課題となると分析した.

次期担当県あいさつ

 次期担当県である田代收島根県医師会長から,次年度は,平成二十一年十一月二十八日(土)に,松江市内で開催を予定しているとの案内があった.

特別講演二

 権丈善一慶応義塾大学商学部教授が,「日本の医療のあるべき姿について」と題して講演.そのなかで,再分配政策としての社会保障,小さ過ぎる政府の医療政策,医療保険の三つの再分配機能,公的保険の存在意義,今日的医療崩壊とは何か,政府の利用価値,国民経済・財政・積極的社会保障政策等について述べ,従来の考え方からの脱皮が必要と説いた.

シンポジウム

 まず,「勤務医が日本の医療に果たす役割」をテーマに,勤務医が疲弊しているなかで,(1)地域拠点病院の現状と将来(2)医師会との協力で作り上げた小児科二次救急医療体制(3)女医が活躍出来る環境の整備─について,各分野から発表が行われた.
 次に,「勤務医の将来展望」をテーマに,(1)勤務医の生きがい(2)臨床研究,高度医療を行う喜び(3)医療提供体制の構造変化と勤務医の処遇改善─について,それぞれの立場から勤務医の明るい未来を展望しての発表が行われた.
 ディスカッションでは多くの意見が出され,活発な質疑応答がなされた.
 また,コメンテーターである三上常任理事から,中央情勢を交えたコメントが寄せられた.

「千葉宣言」採択

 協議会の最後に,全国医師会勤務医部会連絡協議会の総意の下,勤務医の過酷な労働環境改善や政府の医療費抑制政策の見直しを求める「千葉宣言」が採択された.

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