日医ニュース
日医ニュース目次 第1143号(平成21年4月20日)

平成20年度都道府県医師会情報システム担当理事連絡協議会
レセプトオンライン請求完全義務化に風穴

平成20年度都道府県医師会情報システム担当理事連絡協議会/レセプトオンライン請求完全義務化に風穴(写真) 平成二十年度都道府県医師会情報システム担当理事連絡協議会が,三月二十六日,日医会館小講堂で開催された.当日の議事は,(一)レセプトオンライン請求義務化,(二)ORCAプロジェクト─であり,六県医師会(群馬,新潟,滋賀,兵庫,高知,佐賀)が,テレビ会議を通じて参加した.
 中川俊男常任理事の司会で開会.冒頭のあいさつで唐澤人会長は,「日医は医療のIT化を積極的に推進してきたが,それはあくまでも安全で効率的な医療提供体制を実現するための手段であり,医療と患者に貢献するIT化であってこそ推進する価値がある」として,国が管理医療や医療費抑制の手段として,半ば強引にIT化を推し進めようとしている現状を批判した.
 議事(一)では,まず佐伯光義医療IT委員会委員長が,「レセプトオンライン請求完全義務化撤廃」という,日医の主張を強力に後押しする内容の同委員会中間答申を紹介した.
 同委員長は,近年増加している個人情報流出の原因は,システム障害ではなく,電子媒体の盗難や紛失,ファイル交換ソフトからのウイルス感染等,ヒューマンエラーであると分析し,報告書では,セキュリティポリシーの理解,遵守が徹底されていないなかで,オンライン請求を義務化することの危険性を強調しているとした.
 つづいて,中川常任理事が,オンライン請求完全義務化撤廃に関する日医の活動の経緯を報告.三月二十四日の自民党行政改革推進本部総会・規制改革委員会において,二〇〇七年六月に閣議決定された「規制改革推進のための三か年計画」における,「(オンライン請求の)義務化において現行以上の例外規定を設けないこと」という文言が,「義務化において原則現行以上の例外規定を設けないこと」と修正され,さらに,「地域医療の崩壊を招くことのないよう,自らオンライン請求することが当面困難な医療機関等に対して配慮する」という文言が新たに追加された再改定案が了承され,三月末に閣議決定の予定であることを報告した.
 同常任理事は,「閣議決定の上書きは極めて重大であり,社会保障費抑制等の構造改革の方針転換に向けても,大変意味のあること」との認識を示し,各都道府県医師会,全国の会員からの絶大なる支援に対して厚い感謝の意を表した.
 さらに,「総論としてわれわれの主張が認められ,風穴を開けることは出来たが,具体的な各論はこれから詰めていかなければならない」として,都道府県医師会のより一層の支援を要請した.
 議事(二)では,上野智明日医総研主任研究員が,ORCAプロジェクトの現状について説明.プロジェクトの中核を担う「日医標準レセプトソフト」(以下,日レセ)の普及状況については,日レセのみでレセプトを作成している医療機関が六千二百八十九施設,導入作業中も含めると七千三百八十八施設となり,二〇一一年までに一万ユーザー達成という目標に向け,順調に推移していると述べた.
 また,日レセ導入医療機関からオンラインでレセプトデータを収集,分析を行う定点調査研究事業については,昨年二月より参加募集を開始しているが,現時点の申込数は,三百五十九医療機関であると報告.同主任研究員は,「手挙げ参加方式で,日医が勝手にデータ収集することはない」「患者個人を特定出来る情報は収集しない」「電子認証システムによりセキュリティを確保する」「医療機関のプライバシーは厳しく守秘する」と説明し,参加医療機関数を増やすため,各都道府県医師会の協力を依頼した.
 このほか,介護ソフト,特定健診対応,電子決済サービスの終了,傷病名ガイドブック,オルカVPNサービス等について詳細に説明した.
 質疑応答では,テレビ会議での参加者も含めた活発な議論が行われ,閉会した.

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