日医ニュース
日医ニュース目次 第1143号(平成21年4月20日)

平成20年度在宅医療支援のための医師研修会
在宅療養の整備促進を目指して

平成20年度在宅医療支援のための医師研修会/在宅療養の整備促進を目指して(写真) 平成二十年度在宅医療支援のための医師研修会が,三月二十日,日医会館大講堂で開催された.
 冒頭の開会あいさつで,唐澤人会長(竹嶋康弘副会長代読)は,「四月に施行される介護報酬改定では,高齢者が住み慣れた地域で生活を続け,医療介護のサービスを効果的に利用出来るような見直しが行われようとしているが,国の策定するこのような制度・サービスに対して,われわれ医師は積極的に多職種間の連携を持って応えていくことが求められている.日医は,在宅療養が国民に広く認知されるよう,制度の整備をさらに進めていきたい」と述べた.
 当日は,まず,三上裕司常任理事から,高齢者医療・介護を取り巻く課題についての説明,および平成十九年一月に公表した在宅医療・介護に関する日医の指針に示された将来ビジョンを支える三つの基本的な考え方と,それらを具現化するための医師,医師会への七つの提言についての解説の後,三講演が行われた.
 まず,「在宅医療に必要な基礎知識〜高齢者の病態と治療〜」では,細井孝之国立長寿医療センター先端医療部長が,高齢者の症状・疾患の特徴として,多病性,非定型性,精神神経症状の易出現,慢性化―などがあるとしたうえで,高齢者に発症率の高い失神,頭痛,不眠,めまい,便秘,脱水,浮腫,誤嚥,低栄養の鑑別診断について,詳細に解説した.さらに,高齢者の検査値の見方・栄養指導についても,その留意点を紹介した.
 つづいて,神恒一杏林大学医学部高齢医学准教授は,老年症候群をさまざまな視点から概説するとともに,認知症・うつ病などの精神・神経症状について詳細に説明した.また,高齢者の薬物療法についても,その注意点を述べた.
 次に,「在宅医療の具体的な実践方法〜多職種協働と家族,社会との連携〜」では,在宅療養の現場を紹介するビデオが上映された後,太田秀樹医療法人アスムス理事長が,がんと非がん疾患に分けて,緩和ケアや予後予測,家族への対応などを解説.在宅医療には機動力があり,病院医療と比較して必ずしも劣ることはないとし,今後は,高齢者住宅などの居宅系高齢者施設に,在宅医療の知識やそのマインドを持ち込むことによって,看取りの場にすることも可能との考えを示した.
 つづいて,和田忠志医療法人財団千葉健愛会理事長は,二十四時間対応の在宅医療のとらえ方,自宅での診察の注意点,在宅緩和ケアの実際,看取りに際しての家族ケア等について説明.在宅医療における夜間対応は,昼間の在宅医療管理と密接な関係があり,夜間に起こり得ることを予測し,対応しておきさえすれば,夜間でも大部分は電話相談のみで対応が可能になるとした.
 そして,在宅療養を継続してもらうための重要な因子として,「急性疾患の発症を予防すること」「家族の介護力」を挙げた.
 また,「後期高齢者医療制度・診療報酬」では,野中博前社会保障審議会後期高齢者医療の在り方に関する特別部会委員が,後期高齢者診療料創設の経緯を説明.患者が,他の医療機関でどのような検査や治療を受けているのかを把握することも,医師の責務であると強調した.
 最後に,竹嶋副会長が,「今後は増加していく一人暮らしの高齢者や老々介護をしている高齢者を,国民全体で支えていく仕組みを構築していかなければならない」とあいさつし,研修会は閉会となった.

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