日医ニュース
日医ニュース目次 第1150号(平成21年8月5日)

社会保障審議会医療部会(7月9日)
平成22年度の診療報酬改定に向けた検討始まる

社会保障審議会医療部会(7月9日)/平成22年度の診療報酬改定に向けた検討始まる(写真) 第八回社会保障審議会医療部会(部会長:齋藤英彦名古屋セントラル病院長)が七月九日,厚生労働省で開催され,日医からは,竹嶋康弘副会長,中川俊男常任理事が出席した.
 冒頭,厚労省事務局が,医療部会の位置づけについて,社会保障審議会令第六条第一項に,社会保障審議会に部会を設置できる旨が定められており,医療提供体制の確保に関する重要事項の調査審議を目的に,平成十三年七月に設置され,平成十九年の再開後,今回で八回目となること,また,医療部会が医療提供体制の観点から,医療保険部会が医療保険財政という医療経済的観点からと,役割を分担して審議が行われていること,具体的な診療報酬点数の設定に係る審議を行うのが中医協であることなど,その趣旨や経緯を説明した.
 これに対し,竹嶋康弘副会長は,財源等が決まる前に,地域医療のあり方等を十分に審議していくことを要望し,部会として,共通認識とすることになった.
 当日は,「平成二十二年度の診療報酬改定に向けた検討」について自由討議が行われた.
 まず,(一)経済財政改革の基本方針二〇〇九,(二)平成二十二年度一般歳出の概算要求基準の考え方,(三)持続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向けた「中期プログラム」,(四)地域医療再生基金事業,(五)「安心と希望の医療確保ビジョン」具体化検討会中間とりまとめ(概要),(六)「同ビジョン」とりまとめ(概要),(七)看護の質の向上と確保に関する検討会中間とりまとめ(概要),(八)救急医療等の医療体制に係る現状と課題について,(九)診療報酬改定の流れ・平成二十二年度の診療報酬改定スケジュール(案),(十)平成二十年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(平成二十年度調査)結果等─の資料に基づいて,厚労省事務局より説明があった.
 その後の議論のなかで,中川俊男常任理事は,「骨太の方針二〇〇九」に,「社会保障の“ほころび”を早急に修復するとともに,信頼構築のための制度・行政基盤を早急に整えていく必要がある」と記されていることに触れ,「診療報酬の大幅な引き上げによる医療費全体の底上げが必要であり,全体の底上げをしなければ政府への信頼は回復しない.議論がガス抜きとならないためには,しっかりした財源が必要であり,そうでなければ,前回改定時のように,病院と診療所の対立構造にもつながっていく」と述べた.
 また,竹嶋副会長は,「医療資源の“集約化”だけでなく,救急医療等,地域の実情によって“分散”も必要であり,点ではなく面で考えるべきではないか」と指摘.さらに,社会保障には雇用創出効果があるとして,「医療は消費ではなく社会の再生産につながっていく」という日医の見解を説明した.
 今後,十一月下旬を目途に,診療報酬改定に係る基本方針について審議し,意見を取りまとめる予定.

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