日医ニュース
日医ニュース目次 第1170号(平成22年6月5日)

高齢者医療制度改革会議(5月17日)
新たな高齢者医療制度をめぐり有識者からヒアリング

高齢者医療制度改革会議(5月17日)/新たな高齢者医療制度をめぐり有識者からヒアリング(写真) 第六回高齢者医療制度改革会議が五月十七日,厚生労働省で開催され,日医からは,三上裕司常任理事が出席した.
 当日は,五名の有識者(一圓光彌関西大学政策創造学部教授,加藤智章北海道大学大学院法学研究科教授,関ふ佐子横浜国立大学大学院国際社会科学研究科准教授,土田武史早稲田大学商学部教授,山崎泰彦神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部教授)からのヒアリングと質疑応答が行われた.
 有識者からは,これまでに出された四案のうち,「高齢者医療と市町村国保の一体的運営を図る案」に賛成する意見が多く出された.
 これに対し,三上常任理事は,(一)保険者機能の強化が全体の共通意見だが,国民皆保険制度という国民全体での社会連帯のなかで,保険者間に差が出るのはどうなのか,(二)制度改革に関する基本的な考え方である「長妻六原則」のなかの「地域保険としての一元的運用」や「市町村国保の広域化」は保険者間の格差をなくしていくのが目的ではないのか,(三)財源の安定化のために財政調整あるいはリスク構造調整が必要だが,裕福な保険者がそうでない保険者に支出することで最終的に一元化するのであれば,保険者機能の強化に対する保険者のインセンティブが働かなくなるのではないか─という三点を質した.
 最後に,岩村正彦座長(東大大学院法学政治学研究科教授)は,五名の有識者の意見について,「『自治体や健康保険組合などに,保険者としての機能,とりわけ予防も含め,保健活動・健診活動などに取り組むインセンティブを持たせるべき』『所得面・リスク面での調整等,財政調整が必要』『それでも調整し切れない部分については,最終的に国費での調整が必要』といった,いくつかの共通点があったのではないか」と述べた.
 また,当日は,「新たな高齢者医療制度に係る地方公聴会の開催」について説明があり,今後,取りまとめられる予定である「中間取りまとめ(案)」に対して,八月に「グループ討議方式(七日・厚生労働省)」および「全体討議方式(二日・福岡,四日・仙台,十日・大阪)」で,さらに,「最終取りまとめ」前の十月には,「全体討議方式(一日・名古屋,二日・広島,五日・東京)」で実施することが了承された.
 次回は六月二十三日に開催し,総括的な議論を行う予定.

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