日医ニュース
日医ニュース目次 第1188号(平成23年3月5日)

平成22年度日本医師会医療情報システム協議会
「ITは人間の心と身体の健康を守るために如何に活用されているか?─そしてIT医療の更なる発展に夢と希望を─」をメインテーマに

平成22年度日本医師会医療情報システム協議会/「ITは人間の心と身体の健康を守るために如何に活用されているか?─そしてIT医療の更なる発展に夢と希望を─」をメインテーマに(写真) 平成二十二年度日本医師会医療情報システム協議会が,「ITは人間の心と身体の健康を守るために如何に活用されているか?─そしてIT医療の更なる発展に夢と希望を─」をメインテーマとして,二月十二,十三の両日,日医会館大講堂で開催され,熱心な議論が行われた.

一日目

 石川広己常任理事の総合司会で開会.
 冒頭,あいさつした中川俊男副会長は,「規制緩和を進めて,医療の新自由主義的改革を推進しようという勢力が医療分野におけるIT化を,医療費抑制,管理医療のツールとして位置付け,強引に推し進めようとしている」として,その動きを危惧するとともに,「今後も医療の現場を無視した財務省主導の政策にならぬよう,厳しい目を持って対応していく」と述べた.
 つづいてあいさつした運営委員会委員長の小森貴石川県医師会長は,「ITを日常的な診療や医師会活動に利用している本日の参加者は,ITが日本の医療を変えていくものであると同時に,危険性をはらんだものであることも認識しているはずであり,この二日間でそれを再確認して欲しい」と述べた.
 まず,シンポジウムIでは,「医師会事務局のIT化は本当に役立っているか─医師会事務局におけるIT化の悩みと夢─」をテーマとして,横山淳一名古屋工業大学准教授が都道府県・郡市区医師会を対象にWeb上で行った調査結果を説明.次いで,石川県医師会,別府市医師会(大分県),中央区医師会(東京都),福山市医師会(広島県)から,それぞれの医師会におけるIT化の取り組みが詳細に報告された.
 つづいて,シンポジウムII「ORCAの現在と未来」が行われた.上野智明日医総研主任研究員は,日レセの稼動状況と経費,今後の展開について報告するとともに,テスト公開中の感染症サーベイランスを紹介し協力を依頼した.矢野一博日医総研主任研究員は,認証局の役割と必要性,今後の方向性等について説明した.佐原博之石川県医師会理事は,石川県のORCA導入医療機関を対象に実施した調査結果を,福田俊郎佐世保市医師会顧問は,『健診オートボーイ』をベースにORCA連動のオーダリングシステムを開発したことを,それぞれ報告した.

二日目

 午前は,シンポジウムIII「インターネットによる医療情報交換はどこまで可能か?」が大講堂で行われた.
 渡部礼二わたなべ小児科医院長は,メールに添付したExcelの健康管理表をグラフ化することで保育所での疾病状況を視覚的に把握していると報告.川村和久かわむらこどもクリニック院長は,インターネットを用いた情報提供の取り組みを紹介した.上村茂仁ウィメンズクリニック・かみむら院長は,メール相談における問題点とその対応を提案.田村毅東京学芸大学教授は,インターネット相談の可能性と限界について述べた.宝樹真理たからぎ医院長は,時間と空間を超えた自身を支えるためのオンライン医局づくりの経過を,中村英夫中村小児科医院長は,石川県でのインフルエンザ情報システムを,河合直樹岐阜県医師会常務理事は,岐阜県リアルタイム感染症サーベイランスを,それぞれ紹介.本田忠八戸市医師会理事は,十六万人会員のML構築を提案.牟田幹久長崎県医師会常任理事は,「あじさいネット」について報告.丸谷宏氏(鶴岡地区医師会)は,リアルタイムな疾患データベース化を実現した脳卒中地域連携パスの運用実績の紹介と再発予防を中心とした疾病管理について考察した.
 午後からは,「ヒューマン・コミュニケーションの原点」と題して,塚人志鳥取大学医学部総合医学教育センター准教授が特別講演を行い,コミュニケーションの重要性を述べた後,協議会参加者による体験学習を行った.
 次に,シンポジウムIV「クラウドコンピューティングと医療情報」が行われた.加山裕高渋谷区医師会情報担当理事は,開業医のクラウド利用方法を,田崎賢一大村市医師会理事は,あじさいネットのシステム更新をクラウドにより実現したことを,それぞれ紹介.長尾和宏尼崎市医師会地域医療連携・勤務医委員会委員長は,「クラウドを地域連携に役立てようと模索している」と述べた.
 続いて,シンポジウムV「新たな情報通信技術戦略(医療分野)への夢と希望」が行われた.まず,野口聡内閣官房情報通信技術(IT)担当室内閣参事官は,医療分野のIT戦略のエッセンスを説明.大橋克洋東京都医師会理事は,同医師会が進めている地域連携事業「HOTプロジェクト」の経験を絡めて講演した.石川常任理事は,政府が推し進める医療のIT化に対する日医の見解等を述べた.
 最後に,次回担当県の伊東潤造宮城県医師会長のあいさつの後,運営委員会副委員長の嘉数研二宮城県医師会副会長が,「今後,クラウド化は医療分野でも推進されるものと思われる.その対策を講じなければならない」と述べて,閉会した.参加者は四百七十四名であった.

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