日医ニュース
日医ニュース目次 第1190号(平成23年4月5日)

日医緊急記者会見

3月16日
国民の生命・健康を守る活動に全力─原中会長

日医緊急記者会見/3月16日/国民の生命・健康を守る活動に全力─原中会長(写真) 日医は三月十六日,前日に引き続き,緊急記者会見を開き,東北地方太平洋沖地震に対する日医の対応等について説明を行った.
 冒頭あいさつした原中勝征会長は,被災地から寄せられる情報のなかに,ガソリン不足を主要因とした医薬品・日用品不足が増えてきていることに触れ,その現状を憂慮するとともに,その解決に向けて,国土交通省等と交渉し,常磐自動車道を茨城県の水戸市まで再開させ,ガソリンを運ぶタンクローリーは無条件に走行出来るようにしたことを報告.今後も,被災地からの要望等の把握に努め,国民の生命・健康を守るための活動に全力で取り組んでいく意向を示した.
 引き続き,横倉義武副会長が,(一)日医から派遣する「日本医師会災害医療チーム(JMAT)」に,全日本病院協会ならびに日本薬剤師会も加わることになったこと,(二)被災地における医薬品不足の解消のため,製薬業界等に流通に対する格段の配慮を要請したこと等を報告.また,羽生田俊副会長は,日医を始め東北各県の医師会では災害対策本部を立ち上げ,情報の発信に努めているが,そのことが会員にうまく伝わっていないとして,マスコミにその周知に対する協力を求めた.
 石井正三常任理事は,現在,日医で把握している岩手・宮城・福島・茨城四県の避難所数が二千三百十五,避難所の住民数が三十六万九千二百五十人であることを明らかにしたうえで,今,何よりも必要なことは物流の確保であるとして,国に対して東北自動車道の早期の再開を求めた.また,JMATに参加したチームをサポートするため,日医が民間保険に加入したことを明らかにした.

正確な情報の伝達を─永田医師

 当日の会見には,福島県いわき市で実際に医療救援活動を行ってきた永田高志医師(日医救急災害医療対策委員会委員)も同席し,現場の状況について説明を行った.
 三月十三日に現地に入り,十五日まで医療支援活動を行った永田医師は,「これまで多くの被災地で活動してきたが,実際に現場を見ると圧倒され,大変つらかった」と感想を述べたうえで,被災地の現場に必要なこととして,(一)医師,看護師等の医療スタッフを至急投入すること,(二)ガソリン,水,食料の不足を解消すること,(三)長期的な視点に立った財政支援―を挙げ,それらを実現することが日本の復興支援の礎になると強調した.
 また,福島第一原子力発電所からの放射線漏れが心配されていることに関しては,「いわき市の市民は原子力発電所が生活の一部となっており,落ち着いているが,正確な情報が伝わっていない」として,国に対して正確な情報の提供を求めた.

東北地方太平洋沖地震発生後の日本医師会のこれまでの対応

3月11日
・原中勝征会長を本部長として,災害対策本部を設置し,被災状況等について情報収集を開始.
12日
・各地の情報を取りまとめた「東北地方太平洋沖地震:情報提供」の送信を都道府県・郡市区医師会宛にFAXにより開始(22日までに第14報送信済.日医ホームページメンバーズルームにも掲載)
13日
・電力供給不足の問題で,政府が14日より関東の5地域で順番に3時間前後の計画停電を行うことを決定したことを受けて,厚生労働省と協議.在宅医療,中小の病院など,蓄電池が用意されていないところでの注意喚起をテレビなどで徹底するよう要請した.
14日
・原中会長が,岡本充功厚生労働省政務官と電話で会談し,今回の事態への全面的な協力を申し入れ.
・災害対策本部会議を開催し,石井正三常任理事から被災地の状況等について説明を受け,今後の対応策について協議.
・14〜21日に開催予定の日医の行事の中止を決定.
15日
・第13回理事会において,東北地方太平洋沖地震被災地復興緊急支援の実施,第124回定例代議員会および第69回日本医師会定例総会の延期を決定.
・災害対策本部会議で日医災害医療チーム(JMAT)を派遣することを決定し,都道府県・郡市区医師会に協力を要請.
・緊急記者会見で,日医の東北地方太平洋沖地震対策について説明.
・22〜27日に開催予定の日医の行事の中止を決定.
16日
・道路状況やガソリン流通,医薬品等の輸送の改善,被災地の患者の広域搬送について,政府・与党に対応を要請.
・被災地の医薬品不足の状況を踏まえ,日本製薬工業協会に対して医薬品の供出を要請.
・被災地の医療機関への復旧資金の貸付等に係る要望書を細川律夫厚労大臣に提出.
・長期運転資金特別融資の枠を最優先で被災地の医療機関に充てること,貸付上限枠(1,000万円)を増やすことを(財)労災保険情報センター(RIC)に対して要望.
・緊急記者会見で,日医の対応を説明するとともに,永田高志医師が,福島県いわき市における救援活動について報告.
・JMAT活動での二次災害の補償について,民間保険会社と契約を締結.
・災害対策本部会議を開催し,避難所等における「トリアージカード」を作成し,被災県に送付することを決定.
・検案担当医派遣に関して,警察庁と協議.
・民主党「東北関東大震災被災者健康対策チーム」のメンバーとして,今村聡常任理事が参加することを決定.
17日
・災害対策本部会議を開催し,JMATの今後の活動,福島第1原発事故等について協議.
18日
・災害対策本部会議を開催し,JMATの今後の活動,医薬品搬送等について協議.病院および有床診療所で被災患者の受け入れの可否に関する調査の実施を決定.
19日
・日本製薬工業協会,米軍,自衛隊の協力のもと,医薬品を被災地に搬送.
20日
・福島県災害対策本部長である佐藤雄平県知事から,「避難所生活を強いられている健康に不安のある高齢者等に対する医療対策や,地域の中核病院が二次医療機関として被災者等の円滑な受け入れが出来るような医師確保を含めた医療体制の強化」について,特段の支援要請を受ける.
22日
・災害対策本部会議を開催.
・災害対策本部拡大会議を開催し,被災県も含めた東北各県ならびに茨城県の医師会長と災害対策担当者,日医役員とがテレビ会議にて現状の情報交換を行う.
・28日〜4月10日に開催予定の日医の行事の中止を決定.


日医緊急記者会見/3月16日/国民の生命・健康を守る活動に全力─原中会長(図)
日医緊急記者会見/3月16日/国民の生命・健康を守る活動に全力─原中会長(図)
日医緊急記者会見/3月16日/国民の生命・健康を守る活動に全力─原中会長(図)

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