日医ニュース
日医ニュース目次 第1198号(平成23年8月5日)

文部科学省「今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会」
中川副会長 医師養成についての日医の考えを説明

文部科学省「今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会」/中川副会長 医師養成についての日医の考えを説明(写真) 文部科学省「今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会」が七月七日,都内で開催され,日医から中川俊男副会長が出席した.
 本検討会は,将来における我が国の医学・医療ニーズに対応した医師の養成を図るため,医学部入学定員の在り方等について,調査研究を行うことを目的として設置されたものであり,これまで六回にわたって,有識者等からヒアリングを行ってきた.
 当日は,まず,中川副会長が資料「医師養成についての日本医師会の提案―医学部教育と臨床研修制度の見直し―(第二版)」を基に,日医の考えを説明した.
 同副会長は,「本提案は都道府県医師会,病院団体,全国医学部長病院長会議などから意見を聞いたうえで,日医が今年一月に示した案に修正を加えたものであり,言わば医療界全体の意見を集約したものである」と強調.「その実現によって,医師不足と医師偏在解決の第一歩につなげていきたい」と述べた.
 内容の説明では,研修システムとして,各都道府県に設置する「医師研修機構」を束ねる「全国医師研修機構連絡協議会」を設置することを挙げ,「人口や地理的条件など,地域の実情を踏まえて,研修希望者数と全国の臨床研修医の募集定員がおおむね一致するよう,都道府県ごとの臨床研修医募集定員数を設定することで,医師偏在の解消を図っていく」とした.また,各大学に設置する「臨床研修センター」については,「研修希望者は,原則として出身大学のセンターに登録してもらうこととしており,いわゆる根無し草の医師を無くすことも出来る」と述べた.
 この提案に対しては,多くの委員から,賛同する意見が出された.
 その後,文科省がこれまでの議論を踏まえ新たに示した論点((1)医学教育の改革について(2)医師派遣・確保について(3)研究医の養成(4)グローバルな視点での医師養成)に基づいて,議論が行われた.
 同副会長は,国立大学附属病院の運営費交付金が削減され続けていることに触れ,「このことが高度医療の開発や研修の妨げになっているばかりでなく,大学病院勤務医の更なる過重労働にもつながっている」として,その改善を求めた.
 医学部の入学定員に地域枠を設けていることに関しては,「地域枠で入った学生の中には,スタート時点からカリキュラムが異なり,差別感を感じている人もいると聞いている.また,奨学金を出すことについても奨学金を返して他の地域に移動することもあり,その効果は疑問だ」として,単に地域枠を増やすだけでは,医師の偏在の解決にはならないと主張した.
 その他,当日の議論では,安西祐一郎座長(慶應義塾学事顧問)から,平成二十四年度予算の概算要求に向けて,検討会としての中間取りまとめを行いたいとの考えが示され,了承された.

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