日医ニュース
日医ニュース目次 第1199号(平成23年8月20日)

武見フェロー(2010―2011)帰国報告会
帰国したフェロー2名が研究成果を報告

武見フェロー(2010―2011)帰国報告会/帰国したフェロー2名が研究成果を報告(写真) 武見フェロー帰国報告会が,七月二十九日,日医会館で行われた.
 武見国際保健プログラムは,国際保健に関する知識の向上,医療関連機関や医療政策の国際交流に寄与することを目的として,一九八三年に,日医の協力によってハーバード大学公衆衛生大学院に設置され,今日に至っている.
 この日は,昨年九月から本年六月まで,フェローとして研究活動を行ってきた野崎威功真氏(国立国際医療研究センター国際医療協力部),並びに富塚太郎氏(国立保健医療科学院政策科学部主任研究官)が研究成果を報告した.
 まず,野崎氏より,「ザンビア農村部における抗レトロウィルス療法(ART)の効果とインパクト」について報告があった.
 成人のHIV感染率が一四・三%とHIVの影響が深刻なザンビアでは,既に抗レトロウイルス療法(ART)が導入されているが,農村部に住む多くのHIV感染者にとってアクセスや医療資源の不足の点で課題が多い.
 こうしたなかで,一つの郡で導入された,モバイルARTサービス(郡病院からの人的,技術的支援の下で,単体でARTサービスを提供出来ない農村診療所にてARTサービスを提供するもの)についてその成果を検証,サービスを受ける患者数の大幅な増加,治療開始後六カ月以内の治療脱落率の減少などアクセス改善の成果が認められ,コミュニティを巻き込んだモバイルARTサービスの有用性と,それが農村地域にまでARTを拡大することに資することを報告した.
 つづいて,富塚氏より,「日本における新型インフルエンザ感染症の分析」について報告があった.
 富塚氏は,二〇〇九年の新型インフルエンザの流行に関して,基礎疾患と新型インフルエンザによる入院,基礎疾患他と新型インフルエンザによる死亡,新型インフルエンザワクチンに関する政策過程について,それぞれ分析を行い,年齢と基礎疾患が新型インフルエンザによる入院に与えた影響や十八歳未満の抗ウイルス薬使用と新型インフルエンザによる死亡との相関といった年齢階層別分析について報告した.
 報告会には,日医役員を始め,日本製薬工業協会,会内の国際保健検討委員会,日医総研から多数が出席し,両氏の研究報告に対する活発な質疑応答も行われた.

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