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第1208号(平成24年1月5日) |
年頭所感
日本医師会長 原中 勝征

明けましておめでとうございます.
昨年は,三月十一日に発生した「東日本大震災」が歴史上経験のない大災害をもたらしました.巨大地震,巨大津波が太平洋に面した東北三県および周辺地域を襲い,死者・行方不明者をあわせ約二万人の犠牲者と多くの街に壊滅的打撃を与えました.さらに,人災と思われる福島第一原発の水素爆発による放射性物質の外部漏れ,放射能汚染が一向に解決の方向が定まらない中,大震災後の医師会によるJMATの活躍,わが国の医師の国民を守るための迅速な行動に国内外から賞賛の評価が寄せられました.そして現在も,子供や婦人の方々をはじめとする被災者の心のケア,生活支援,衛生環境の整備や伝染病予防,医師不足地域への支援などを目的にJMATIIを立ち上げ,全国の医師会や医療の各団体のご協力をいただいております.
昨年の暮れ近く,「社会保障と税の一体改革」について政府与党の中で,その実施に向けた論議が激しく行われました.超高齢化と少子化が進行する社会における制度持続のための改革と政策ですが,残念ながら具体的な数値や道筋が国民にわかるようには説明されておりません.そんな状況下にあって,診療報酬と介護報酬の同時改定,医療における消費税問題,事業税,持分無しの医療法人への強制移行,受診時定額負担など諸問題が山積しておりますが,日本医師会執行部の全役員は精力的に政府三役,党幹部や党担当委員に日本医師会の諸政策の説明を行いました.前政権時代から医療費削減に固執する官僚や外部審議会,各種団体からの圧力など政策実現にはとても複雑な要素がありました.現政権の内部の問題は別として,ほとんどの与党の幹部や議員の方々は日本医師会の主張をまじめに聞き理解をしていただいたと思います.
さて,新年は昨年の大震災からの復興を進めなければなりません.新しい街づくりは,医療施設を中心に考えなければなりません.また被害を受けた医療機関の多重債務などの問題もあります.引き続き政府と協議を続け,会員の先生方が元のように新しい街の中で安心して医療活動が出来るように,最大限の努力をする覚悟であります.今後も引き続き努力が必要な問題として,医師不足,医師の診療科・地域偏在の問題,医学教育・研修制度のあり方,TPPの医療制度への影響,医療法改正,消費税などがありますが,政府や議員には多種多様な考え方を持つ議員がおられます.目的達成には地元議員に対する地域医師会の活動が重要であり,日本医師会と地域医師会が責務を分担してこそ実を結びます.新年を迎えるに当たって,さらに会員相互の交流を活発にし,「医の倫理と国民のための医療」を共通の活動の基礎として行動することをお願いいたします.
日本医師会は医師会活動の目的達成のために自らはもとより都道府県・郡市区医師会,さらには全ての会員が積極的に活動へ参加して,わが国の医療をよくするための意見を述べていただける医師会を目指して努力したいと思っています.そして,医師が明るい気持ちで医療活動が出来る医療制度に向けて努力の年にしたいと思います.会員の皆様が辰年に見合う昇り龍であることを祈念いたします.
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