日医ニュース
日医ニュース目次 第1209号(平成24年1月20日)

保坂常任理事
新型インフルエンザ対策の法制化に対して日医の考えを説明

保坂常任理事/新型インフルエンザ対策の法制化に対して日医の考えを説明(写真) 内閣官房新型インフルエンザ等対策室による「新型インフルエンザ対策のために必要な法制度の論点整理」についてのヒアリングが昨年十二月十九日,都内で開催され,保坂シゲリ常任理事が出席した.
 新型インフルエンザ対策については,現在,新型インフルエンザ対策行動計画が作成されているが,行動計画の実効性を更に高めるためには法的枠組みを検討する必要があるとの指摘がある.今回のヒアリングは,新型インフルエンザ対策に必要な法制度の検討に当たって,医療関係団体から意見を聞くために実施されたものである.
 保坂常任理事は,まず,新型インフルエンザ(特に強毒性のもの)に備えて,あらかじめその対策に実効性を持たせるために法整備が行われることには賛成との意向を示した上で,(一)総論的事項,(二)ワクチン接種,(三)医療体制─等に関して,日医の考えを説明した.
 (一)では,昨年九月に改定された新型インフルエンザ対策行動計画について,(1)政府としての決定のプロセス,指揮命令系統が判然としていない(2)厚生労働省の「新型インフルエンザ専門家会議」との関わりが不明確―などの問題点があるとし,その改善を要求.また,ワクチン接種,医療体制の構築を実効性あるものにするためには,日医の関与が必要不可欠であるとして,政府対策本部に日医の代表を参画させることを求めた.
 更に,同常任理事は,現在,国民保護法で定められている指定公共機関と同様の仕組みを新型インフルエンザ対策に関する法制度に組み込む際には,国の指定公共機関に日医を指定することが妥当とし,「日医としてもそのことについて検討する用意がある」と述べた.
 (二)では,医療従事者の優先接種の範囲に関して,受付事務職員を含める等,改めて検討する必要があると指摘.また,接種体制の構築に当たっては,病原性が高い場合には,(1)集団接種についてのルールを作っておく(2)接種に従事可能な医療関係者数を想定し,その範囲での接種計画を立てる(3)接種実施者とは別に被接種者の予約を取る担当部門を設ける(4)接種を実施する医療関係者に対し,十分な報酬を用意する─ことが,また,病原性が低い場合(新臨時接種として対応する場合)には,(1)予約の受付に必要な人員やシステムを確保するための費用を上乗せした接種費用を設定する,若しくは接種実施者とは別に,国や都道府県または市町村等が予約受付業務を行う(2)ワクチンの返品を認めないことを原則とするのであれば,二割程度のロス分を考えた料金設定とする─ことが,それぞれ必要だとした.
 (三)では,特に病原性が高い場合,地域感染期以降,診療に当たることの出来る一般医療機関が限られる可能性が高いとするとともに,新型インフルエンザの診療をしない医療機関についても,社会機能維持者の一つとして考える必要があると指摘.更に,新型インフルエンザの診療に応じる全ての医療従事者に対して,その身分保障と十分な補償を国として決めておくことが医療提供体制を構築していくに当たっての最初に必要な条件であるとした.
 その上で,同常任理事は,これらの要求に十分な対応がなされた場合には,国民を守るため,国と共に感染症という敵と闘う覚悟があると強調.内閣官房新型インフルエンザ等対策室に対しては,「厚労省とも連携を取りながら,国を挙げて対応が出来るような仕組みをぜひつくって欲しい」と述べた.
 なお,内閣官房新型インフルエンザ等対策室では,今後も関係者からのヒアリングを続け,その結果を基に法案を作成し,本年三月を目途として通常国会に提出する予定としている.

このページのトップへ

日本医師会ホームページ http://www.med.or.jp/
Copyright (C) Japan Medical Association. All rights reserved.