日医ニュース
日医ニュース目次 第1210号(平成24年2月5日)

東日本大震災から間もなく1年 いつまで戻れない避難生活
双葉郡医師会長 井坂 晶

 悪夢の東日本大震災,巨大津波,原発事故から早や一年になろうとしている.岩手,宮城は既に復興に向けて前に進んでいるが,福島県の原発から二十キロ圏内の双葉郡は,まだ,侵入禁止区域で全く手が付けられず,平成二十三年三月十一日午後二時四十六分で時間が停止したままである.
 手が付けられないということは,地震,津波で損壊したまま,雨風にさらされ,長年培ってきた家,財産が朽ち果てるということであり,半年も住んでいない家にはカビが生え,キノコが出て,動物の良い住み家と化し,一時帰宅で帰ったら,家の中から豚が出て来た,畑,道路を牛やダチョウがウロウロしていたとか,とても住める状態ではなかったという.
 先の見えない避難生活,これから何年先,いや廃炉までは三十年,四十年かかると言われている.とすれば,早く代替地でも提供して欲しい.
 今まで培ってきた三十〜四十年,これを一から取り戻すことはもはや出来ない.小生も微力ながら住民の健康管理に働き,頼りにされる部分もあるが,七十二歳になる.そろそろ役職を若い世代に譲りたくとも,若手は散り散り,バラバラになっており,恐らくこの地には戻ってこないと思われる.福島県は人口が減少し,医師不足は医療崩壊に追い打ちをかけている.福島に医師を!!
 原発は国策で県が誘致したものであるが,安全・安心神話は打ち砕かれ,すべて想定外では済まされない事態となっている.
 東電事故は人災であり,風評被害も国,国民による人災であるが,時間と共にその意識も,被災地も風化し朽ちていってしまう.地元の避難民に生活の場を! 仕事を失った人に職場を! 絆,絆と言われるが,家族がバラバラな人たちがたくさんいる.国は早くきめ細かい先の見える施策を出して欲しい. 
 最後に今回の災害で,日医からはJMATの派遣のみならず,たくさんの義援金ばかりでなく,賠償問題では格段のご尽力を賜った.この場を借りて厚く御礼申し上げる.

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