日医ニュース
日医ニュース目次 第1211号(平成24年2月20日)

日医定例記者会見

「社会保障と税に関する一体改革素案」に対する日医の見解

詳細は日医HPで

日医定例記者会見/「社会保障と税に関する一体改革素案」に対する日医の見解(写真) 去る一月六日に閣議報告された「社会保障・税一体改革素案」(以下,「素案」)に対する日医の見解を発表した.
 まず,「素案」の大枠については,中川俊男副会長が,社会保障の機能強化と持続可能性の確保を目指しており,日医としても方向性は同じであるとした上で,医療・介護の営利産業化ありきではなく,国民皆保険の堅持が根幹であることを強く願うとした.
 その後,個別項目については担当役員が説明.
 中川副会長は,「消費税の社会保障財源化」に言及.「消費税(国分)の『目的税化』とは,厳密には消費税収の範囲で必要費用を賄うことであり,不足の場合,消費税率の引き上げか必要費用の圧縮しかない.まず,国民に対し,『目的税化』の意味を分かりやすく示し,理解を得る必要がある」とした上で,社会保障を後退させることのないよう,消費税収が不足の場合には,他の財源を充当する方向を維持すべきであるとした.
日医定例記者会見/「社会保障と税に関する一体改革素案」に対する日医の見解(写真)  続いて,「控除対象外消費税」の問題について,今村聡常任理事が説明.
 消費税負担については,定期的な検証の場を設置するとされたが,現状の評価を行うとともに,抜本的解決に向けた議論が必要とした.また,高額投資に係る消費税負担に対して一定の手当てを行うことを検討するとされたことに関しては,「診療報酬の中での手当という点で不十分さが残るものの,本会の税制要望が部分的に実現したことは評価する」と述べるとともに,確実な実施を求めたいとした.一方で,項目の冒頭に「今回の改正に当たっては」とあることについては,「今回」が示す時期を税率八%までと限定すべきであり,一〇%引き上げ時には抜本的解決を求めるとした.
 「公的医療保険のあり方」では,中川副会長が,日医は二〇一〇年十一月に公表した,「国民の安心を約束する医療保険制度」の中で公的医療保険制度の全国一本化を提案していると説明.また,財政調整財源としての被用者保険の保険料率を仮に一〇〇‰(パーミル)で公平化した場合,二兆円以上の増収効果が見込まれるとして,保険料率の見直しを改めて提案した.
 医療提供体制については,横倉義武副会長が見解を述べた.
日医定例記者会見/「社会保障と税に関する一体改革素案」に対する日医の見解(写真) 「急性期病床の位置付けの明確化」に対しては,急性期医療への偏った医療資源の集約ではなく,一般病床全体の充実に努めていくとした方向性を示し,医療の機能分化や連携は,かかりつけ医機能を推進し,地域の関係者により行うべきであるとした.また,新制度には診療報酬が必ずリンクするが,急性期病床群の要件を満たせる病院は限られるとした上で,「二〇〇一年の医療法改正で一般病床,療養病床に区分した結果生じた問題を検証すべきである」と述べた.更に,入院,処置等,病床に係る必要性,適合性は,プロフェッショナル・オートノミーに基づき医師が医学的合理性により判断するものであり,法令等が立ち入るべきではないとした.
 「一般病棟における長期入院の適正化」については,「平均在院日数は,DPC病院,特に平成十五年度DPC参加病院で大幅に短縮化されてきたが,一方で,退院時の治癒・軽快の割合が減少し,再入院の割合が増加している.平均在院日数の短縮化ありきではなく,患者の状態に応じた適切な医療を提供することが重要である」と述べた.
日医定例記者会見/「社会保障と税に関する一体改革素案」に対する日医の見解(写真) 「在宅医療の拠点となる医療機関」に関しては,在宅医療における連携のあり方について,行政や拠点病院とも連携してネットワークづくりを目指してきた地域医師会こそが調整の役割を果たすべきであり,都道府県医師会も,医療計画の作成に当たっては,地域の実情に応じた在宅医療の連携システムを構築していくべきと主張.更に,現在検討されている,在宅医療連携病院・診療所の法制化に関しては,「特定の医療機関がネットワークをつくった場合,グループ内での連携となり,開設者が異なる医療機関や訪問看護ステーション等との連携が困難となる.地域医師会こそが,公平・中立な観点から地域連携の調整の役割を果たすべきである」とした.
 「医師確保対策」については,中川副会長が説明.日医は二〇一一年四月,「医師養成についての日本医師会の提案―医学部教育と臨床研修制度の見直し―(第二版)」を発表し,医学部教育における五,六年生の参加型臨床実習の実践や,研修希望者数と全国の臨床研修医の募集定員がおおむね一致するよう設定された研修システム等具体的提案を行っているとして,日医の提案の意義を改めて主張した.
日医定例記者会見/「社会保障と税に関する一体改革素案」に対する日医の見解(写真) 「チーム医療の推進」については,藤川謙二常任理事が,議論の背景には医師不足があるが,「侵襲性の高い,難しい判断を伴う医行為は,医療安全の観点から,医師が行わなければならない」と改めて主張.看護師特定能力認証制度骨子案については,問題点を指摘した上で,新たな資格や認証制度の創設が更なる看護師不足を招いたり,一般の看護師の業務を縮小させることがあってはならないとした.医療現場や患者の不安を省みず,厚労省は早ければ今通常国会への法案提出を目指しているが,国民の生命に関わる重大な問題であり,関係者や国民の合意なきままに,社会保障・税一体改革ありきで法制化を急ぐことは認められないとした.
 「地域包括ケアシステム」については,三上裕司常任理事が説明.「在宅サービス・居住系サービスの強化」については,「集合住宅」へのサービス提供は「自宅」とは異なり,移動等の効率化を考慮した報酬体系の新設を提案.「介護予防・重度化予防」については,リハビリテーションを含めたケアマネジメントが鍵だとした.「医療と介護の連携強化」については,多職種による退院調整のカンファレンスが必須とした.「認知症対応」については,認知症サポート医の活用を訴え,地域包括支援センター等での積極的な施策の推進を提案した.
日医定例記者会見/「社会保障と税に関する一体改革素案」に対する日医の見解(写真) 「社会保障・税番号制度」については,石川広己常任理事が,公的医療保険制度の全国一本化の実現のためには,公平な負担と給付のために所得や保険料を捕捉するシステムは必要とした.しかし,これらの基本となる番号制度が,社会保障の現物サービス給付に拙速に持ち込まれることには,受診抑制等の管理医療につながるとして懸念を示した.また,「マイナンバー法案」提出に当たって,医療分野に関しては特別法が提出されることになっていることに対しては,専門的判断が必要として,日医としても積極的な関与を行う姿勢を示した.

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