日医ニュース
日医ニュース目次 第1214号(平成24年4月5日)

第15回都道府県医師会介護保険担当理事連絡協議会
平成24年度介護報酬改定内容を中心に解説

第15回都道府県医師会介護保険担当理事連絡協議会/平成24年度介護報酬改定内容を中心に解説(写真) 都道府県医師会介護保険担当理事連絡協議会が三月七日,平成二十四年度介護報酬改定の説明を目的として日医会館大講堂で開催された.
 冒頭,あいさつに立った原中勝征会長(中川俊男副会長代読)は,「平成二十四年四月の介護報酬改定率はプラス一・二%となったが,介護職員処遇改善交付金分は二・〇%の財源が必要とされており,地域区分を見直したことによる影響等を考慮すれば,改定率からは見えない部分で厳しい改定となった」と述べた上で,各都道府県医師会に対しては地域特性に合わせた高齢者の医療や介護への積極的な取り組みを要請した.
 議事では,三上裕司常任理事が,「介護報酬改定等について」と題し,(一)社会保障・税一体改革成案と地域包括ケアシステム,(二)平成二十四年度介護報酬改定,(三)医療・介護の提供体制の将来像―について説明を行った.
 (一)では,本年二月に閣議決定された「社会保障・税一体改革大綱」の要旨を説明し,主な関連施策として,地域包括ケアシステムの構築などが盛り込まれているとした.(二)では,今年度の診療報酬・介護報酬同時改定に向けた審議会等での議論の流れを示しつつ,介護職員処遇改善交付金から介護職員処遇改善加算に変更となった経緯や地域区分を七区分に見直した経緯を解説.(三)では,政府の改革の方向性に触れつつ,今回,同一建物に関する減算の対象とならなかった定期巡回・随時対応サービスについて,「今後開催予定の『介護報酬改定検証・研究委員会』の中で,どのようなサービスが行われるのか検証するよう厚生労働省に申し入れをしている」と述べた.更に,「地域包括ケアシステムを真に実現するためにも,地域の医師会がコーディネーターとなり,モラルハザードを防ぐ役割を担いながら,地域の高齢者の生活を守ることが大切ではないか」とした.
 最後に同常任理事は,二〇〇七年一月に日医が公表した指針「在宅における医療・介護の提供体制―『かかりつけ医機能』の充実─」を示し,「これを念頭に地域包括ケアシステムの実現を目指してもらいたい」と述べた.
 続いて,宇都宮啓厚労省老健局老人保健課長が,(一)介護保険制度を取り巻く状況,(二)平成二十四年度介護報酬改定の概要,(三)各サービス毎(ごと)の改定の概要,(四)今後の課題―について説明した.
 (一)では,今後七十五歳以上の高齢者人口の更なる増加が見込まれる中,平成二十二年三月に公表された「地域包括ケア研究会」報告書を受けて,「地域包括ケアシステム」の確立を図る必要があるとして,医療・介護の提供体制の将来像を概説.(二)では,介護報酬改定のポイントとして,(1)在宅サービスの充実と施設の重点化(2)自立支援型サービスの強化と重点化(3)医療と介護の連携・機能分担(4)介護人材の確保とサービスの質の向上―を示し,その内容を解説した.(三)では,今回の改定で新たに加わった加算や要件等を紹介.(四)では,今期の介護報酬改定の検証と,次期介護報酬改定に向けたデータの収集のため,「介護報酬改定検証・研究委員会」を設置したことを報告し,四月には第一回を開催する意向を示した.
 宇都宮課長は,「今回の改定については,厳しい財源の中で,自立支援,高齢者の尊厳保持に留意して行ったつもりである.足りない部分については,今後の改定に向けて意見をいただければと思う」と述べた.
 終わりに,中川副会長が,「次期の介護報酬改定は更に厳しい状況が予想されるが,日医は,医療と介護の提供体制が損なわれないように,ありとあらゆる手段を駆使して財源確保をしていきたい」と総括し,閉会となった.

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