日医ニュース
日医ニュース目次 第1219号(平成24年6月20日)

今村副会長,高杉常任理事
今夏の医療施設における電力確保について要望

今村副会長,高杉常任理事/今夏の医療施設における電力確保について要望(写真) 全国的な電力不足が見込まれる今夏,計画停電の実施の恐れがあることから,日医は五月二十五日,都内で,電力会社各社に対し,医療施設等における電力確保の要望を行った.
 日医側からは,今村聡副会長と高杉敬久常任理事を始め,事務局と日医総研,四病院団体協議会(日本医療法人協会,日本精神科病院協会,日本病院会,全日本病院協会)が,電力会社側からは,北海道,東北,東京,中部,北陸,関西,中国,四国,九州の九社と電気事業連合会が出席.この他,経済産業省と厚生労働省から一名ずつ出席した.
 冒頭,あいさつに立った今村副会長は,「昨年は,公的病院を中心とする限られた病院だけが計画停電時に通電されるリストに載った.計画停電が実施されれば,どの業種であっても困るのは当然だが,国民の医療を確保するために,通電の対象範囲を広げていただきたいというのが現場の声である」と強調.今後,リストの基データを作成する厚労省に,全ての医療機関を計画停電から除外するよう働き掛けていくとの姿勢を示した上で,そのデータが経産省を通して電力会社に届いた際には,都道府県医師会や病院団体と地域の実情について話し合うことを要請した.
 議事では,まず,高杉常任理事が,日医と四病協の五者で取りまとめた「電力使用制限令及び計画停電発動に伴う医療機関等への通電に関する要望」を説明した.
 同常任理事は,昨年の東日本大震災を契機とする大規模な電力供給不足により,東北・東京電力管内では計画停電や電力使用制限令が発動されたため,医療機関や在宅における医療活動が停止し,地域住民の生命と健康が大きく脅かされたことを指摘.計画停電の除外となる医療施設は根拠不明なまま限定され,救急患者の多くを受け入れている民間を中心とした救急医療施設が通電対象から外されたことを問題視した.
 また,「今夏は,昨年にも増して電力需給の逼迫(ひっぱく)が予測され,北海道・関西・四国・九州電力管内において計画停電の可能性がある」として,実施に際しては,電力供給が生命線となる全ての医療・介護施設,居宅における患者等の生命や健康が脅かされることのないよう特段の配慮を求めた.
 続いて,日医総研の鮫島信仁研究員が,昨夏の計画停電に伴う医療への影響と問題点として,東京電力管内の計画停電によって医療機関で発生した問題等の事例を紹介.病院・診療所への緊急アンケート調査を基に,計画停電によって医療機器や検査機器が使えなくなるだけではなく,(一)ナースコールが使えない,(二)エレベーターが使用出来ず患者搬送や給食の配膳に支障を来した,(三)ポンプが止まって断水状態になった,(四)薬の分包機が使えず配布が行えない,(五)固定電話が使えず緊急搬送等のやり取りが出来ない―など,多くの問題が発生したことが明らかになったとした.
 その上で同研究員は,「前回の計画停電は三月だったが,今回実施されるとすれば夏になり,熱中症患者の増加や食中毒などの問題も起こる可能性が大きい.医療機関にとって電力は命にも等しく,電力会社は生命の一翼を担っていることを自覚し,医療施設等における計画停電が実施されることがないようにしていただきたい」と述べた.
 畑仲卓司日医総研研究部統括部長は,今後の進め方として,この日の内容を日医の記者会見で公表するとともに,都道府県医師会を対象に「電力確保対策担当理事連絡協議会」を開催する予定であることなどを説明した.
 質疑応答では,日医側からの通電エリアについての質問に対し,電力会社側が,「一日二回や連日の停電にならないよう,最適なスキームについて社内で検討している段階である.関係省庁間の調整を受けて六月上旬から具体的な緩和対象を検討し,グループ分けの作業をする.遅くとも六月末までに計画停電に関する準備を完了していく」と回答.日医側は,本来医療機関は対象から外されるべきとした上で,最悪の場合,計画停電の実施対象となる医療機関においては相当な準備が必要になることから,早急に検討を進め,説明するよう要請した.

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