日医ニュース
日医ニュース目次 第1222号(平成24年8月5日)

第1回日本医師会綱領(仮称)検討委員会
日本医師会綱領(仮称)の検討が始まる

第1回日本医師会綱領(仮称)検討委員会/日本医師会綱領(仮称)の検討が始まる(写真) 日本医師会綱領(仮称)検討委員会の初会合が七月十三日,日医会館で開催された.
 本検討委員会は,四月二日に開催された第百二十六回日医定例代議員会における所信表明の中で,横倉義武会長が,「日医の基本理念を明確化するために,日本医師会の綱領なるものの策定を検討し,組織としての目的,目標,理想を,会員のみならず国民の皆様に示したい」との考えを示したこと等を受けて設置されたものである.

「公益社団法人日本医師会」の旗印として掲げたい―横倉会長

 三上裕司常任理事の司会で開催.冒頭あいさつに立った横倉会長は,医療現場での医師と患者,地域医師会と住民などが強い信頼関係で結ばれていることを示し,「問題は,日医に対する国民の理解がさまざまであることだ」と指摘.「日医に対する国民の認識がプラスにとらえられる面がある一方,ネガティブな報道の影響を受ける方もいる.そのような方々に対して,日医という組織の役割,理念というものを明確にする必要があるのではないか.また,われわれ日医会員が会員であることの意味を改めて理解することが重要ではないかと考える.そのため,綱領たるものの検討をお願いし,新しい公益社団法人日本医師会の旗印として掲げたい」と検討への期待を込めた.
 続いて,委員長に野中博東京都医師会長が,副委員長に森洋一京都府医師会長が指名され,横倉会長より,諮問「日本医師会綱領(仮称)の策定について」が野中委員長に手交された.

名称を『綱領』とするべきか

 議事では,三上常任理事が,本検討委員会の設置目的や日医が作成している倫理規範などを紹介.その後,日本医師会綱領(仮称)の名称について意見交換が行われた.
 その中で,森副委員長は,「いかに医師会の目的を受け入れてもらえるかが一番のポイントなので,『綱領』という名称ではなく,『基本理念』などの理解されやすい名称にするべきではないか」と発言.委員からは,「一般からの目線では『綱領』という言葉自体が分かりにくい」「基本理念,基本方針などの二段構えの構想はどうか」などの意見が述べられた.
 その一方で,「他団体と比較されるものであり,看板の意味合いとしても『綱領』という名称がよいのではないか」などの意見や,「綱領という言葉自体は一般的にみてもおかしくはない,しかし国民サイドとの関わりを考えると,あえて使う必要もない」などのさまざまな意見が出され,これらの意見を受けた野中委員長は,「国民に向かって医師会が何をすべきかを示すことが大事」との部分では意見の一致を見ているとして,議論の過程の中で再度名称を検討することとした.

「日本医師会綱領(仮称)」の方向性を確認

 次に,今回策定する「日本医師会綱領(仮称)」の具体的なイメージや内容等について,既存の倫理規範等との位置付けも含めながら,各委員より意見が述べられた.
 委員からは,「これからの医療のあり方,方向性を考えても,『国民と共に』という言葉がキーワードになるのではないか」「既に『医の倫理綱領』等に今回の綱領で提示すべき内容が表現されているので,そのエッセンスを抽出して口ずさめるようなものを作成するという作業が必要ではないか」「『信頼』をどうしたら得られるのかという視点や,『本気度』が伝わるようなメッセージが必要である」などの意見があった他,複数の委員からは綱領(仮称)の私案が提出され,活発な議論が行われた.また,既存の倫理規範等との位置付けについては,「綱領という言葉を使用するならば,『医の倫理綱領』と混乱しないように注意が必要である」などの意見があった.
 これらの議論を受けて,委員会では,綱領(仮称)に盛り込むべき内容やキーワード等を引き続き検討しながら,綱領(仮称)の内容を数項目に集約していくという一定の方向性が確認された.
 今後は,メーリングリストの設置,活用を通じて,更なる議論の深化を図り,公益社団法人移行後最初の代議員会となる第百二十九回定例代議員会(平成二十五年六月開催予定)への提出を目指して,検討が進められることとなる.

日本医師会綱領(仮称)検討委員会

古屋 聖兒(北海道医理事)
村上 秀一(青森県医副会長)
野中  博(東京都医会長)
関   健(長野県医副会長)
松本 純一(三重県医副会長)
榎本 多津子(和歌山県医理事)
豊田 秀三(広島県医副会長)
福田 俊郎(長崎県・佐世保市医顧問)
古川 貞二郎(内外政策研究室主宰(元内閣官房副長官))
森  洋一(京都府医会長)
田中 良樹(兵庫県医常任理事)
【三上常任理事・庶務課】

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