日医ニュース
日医ニュース目次 第1229号(平成24年11月20日)

第65回日本医師会設立記念医学大会 受賞者の功績紹介

 日本医師会最高優功賞のうち,都道府県医師会長推薦による「医学,医術の研究により医学,医療の発展又は社会福祉の向上に貢献し,特に功績顕著なる功労者」と,その受賞理由を紹介する.

医師会活動を通じて地域医療の充実・発展に貢献した功労者
土井 三乙 先生(78歳 青森県)

 昭和44年から40年以上の長きにわたり地域住民の健康保持,公衆衛生の啓発普及に尽力.また,平成7年に八戸市医師会が指定を受けた「かかりつけ医推進モデル事業」に,率先して取り組むだけではなく,県内医師会で初の訪問看護ステーション事業設立に奔走.12年には在宅介護支援センター,居宅介護支援事業所の展開に努めた.

災害時救急医療体制の確立に貢献した功労者
櫻井 芳明 先生(72歳 宮城県)

 東日本大震災の際には,宮城県庁内に設置された災害対策本部の医療班に「宮城県災害医療コーディネーター」として従事し,急性期を脱してからは被災地の状況把握を行い被災した医療機関の早期復旧・復興に向けて献身的に力を注いだ.
 また,今後の大規模災害に向け,「JMAT宮城」の創設を提唱.自ら県内の看護協会,薬剤師会等に参加要請を行うなど,その実現に向けて尽力した.

認知症医療体制の整備・確立に貢献した功労者
齋藤 義雄 先生(78歳 茨城県)

 「認知症相談医リスト」や「認知症チェックシート」を作成し,関係機関に配布した他,認知症相談医をサポートするため,CT,MRI,SPECTなどを有する「認知症診断協力医療機関」と「認知症専門医療機関」によるバックアップ機能をもつネットワークシステムを構築.認知症の診断・治療・ケアに大きく貢献した.

医師会活動を通じて地域医療の充実・発展に貢献した功労者
橋本 啓一 先生(74歳 埼玉県)

 地区医師会長在任中,志木市立市民病院において,準夜帯に開業医が当番で支援を行う「朝霞地区医師会小児救急医療支援事業」を全国に先駆けてスタートさせるなど,わが国の母子保健の向上に貢献した.
 また,埼玉県医師会副会長として,同県における地域医療に関するあらゆる事業を県との緊密な連携の下に積極的に推進し,県民の健康維持増進・疾病予防の充実に努めた.

医師の生涯教育推進活動に貢献した功労者
神谷 正見 先生(76歳 神奈川県)

 平成7年に藤沢市内科医会長に就任以来,藤沢市医師会の会員医師の生涯教育並びにレベルアップのために,毎月,「学術講演会」「体験学習集談会」「循環器及び呼吸器研究会」を開催.市内の診療所レベルでの心筋梗塞を代表とする循環器疾患の診断・治療技術の向上や肺がんの発見率の著しい改善につなげた.

医師会活動を通じて地域医療の充実・発展に貢献した功労者
佐々木 繁 先生(77歳 新潟県)

 平成20年4月の特定健診・特定保健指導導入時には,市町村ごとで異なる体制の問題点を指摘.関係団体と共に「健診保健指導支援協議会」を立ち上げ,全県統一方式を実現させた.
 また,平成19年の中越沖地震の際には,新潟県医師会長として,いち早く被災地を訪れ,被災地の医療ニーズを把握し,被災者への的確な医療支援を行った.

小児医療体制の充実・発展に貢献した功労者
有吉 徹 先生(87歳 長野県)

 長野市小児科医会の会員を中心として,平成14年に「NPO法人ながのこどもの城いきいきプロジェクト」を発足.初代理事長に就任し,地域の母親に対し,子育ての悩みを共有する場を提供した.
 また,昭和44年に「長野市小児科集談会」を立ち上げ,月1回の勉強会を開催するなど,長野市の小児科医療の充実・向上に貢献した.

地域保健の推進及び公衆衛生の向上に貢献した功労者
志水 哲也 先生(73歳 愛知県)

 日本で初めて母子健康手帳を中学生まで利用出来る親子健康手帳とするなど,愛知県小牧市民の母子保健に深く貢献した.
 また,開業小児科医として,インフルエンザ,エンテロウイルス等に対する観察を続け,研究会や学会で発表するとともに論文を執筆し,外来における感染症研究に寄与した.

医師会活動を通じて地域医療体制の整備・向上に貢献した功労者
田 壽 先生(75歳 三重県)

 「津市夜間子ども応急クリニック(毎夜)」の開設,「みえ子ども医療ダイヤル」の設置等,津市の救急医療体制の構築に尽力した.
 また,地域包括支援センターの開設に主導的な役割を果たした他,三重県内の高等学校に思春期のうつ対策やエイズ性教育についての出前講座を提供するなど,市民の健康教育に力を注いだ.

医師会活動を通じて地域医療の充実・発展に貢献した功労者
小柴 孝夫 先生(81歳 兵庫県)

 神戸市医師会臨床検査センターの運営や精度管理の向上に力を注ぐとともに,「生田区医師会休日急病電話相談所」の開設にも貢献した.
 また,「禁煙運動」に積極的に取り組み,「世界禁煙デー」に合わせて行われる神戸市中心部での街頭パレードでは,先頭に立って,禁煙の普及・啓発を呼び掛けた.

看護師養成事業及び学校保健活動に貢献した功労者
沖野 宏敬 先生(80歳 広島県)

 広島県安佐地区で深刻化した看護師不足問題に対処するため,行政との交渉,会員への協力要請等に尽力し,准看護師養成所の設立を実現.その後は,安佐医師会立安佐准看護学院顧問として,学生の看護技術の向上等に努めた.
 その他,昭和46年から33年間にわたって中学校の校医を務め,生徒・教職員の健康管理に貢献した.

地域医療の推進及び医学の向上に貢献した功労者
渡邉 英生 先生(73歳 愛媛県)

 大腸肛門病疾患について研鑽に励み,平成15年には日本大腸肛門病学会の指導医となり,四国で唯一の同学会認定施設として,各地からの各種疾患を引き受け,診断・治療に当たった.
 また,松山市救急指定医療機関協議会の代表として,松山圏域における救急医療の維持向上に取り組むなど,地域医療の向上に努めた.

地域医療の推進及び国民医療の向上に貢献した功労者
竹嶋 康弘 先生(74歳 福岡県)

 医政に関する情報を集積・分析するため,福岡市医師会に「医療情報室」を新設した他,市民向けの広報誌『はーとふるふくおか』を発行し,市民との情報共有化に努めた.
 また,介護保険制度開始2年前には,「介護保険プロジェクト」を創設.制度の仕組みについての講習会や認定審査会委員に対する実務研修などを行った.

へき地医療活動に著しく貢献した功労者
阿久根 廣一 先生(77歳 鹿児島県)

 へき地医療の中核をなす肝属郡医師会立病院の運営に尽力した他,垂水中央病院設立の際には,南隅地区と垂水地区の医師会員との関係融和に努め,郡医師会運営の円滑化を図った.
 また,学校医として20年以上活躍し,精神衛生専門医,産業医として各事務所を巡回するなど,地域住民のメンタルヘルスケアの実施に努めた.

医師会活動を通じて地域医療の充実・発展に貢献した功労者
桑江 朝彦 先生(78歳 沖縄県)

 昭和42年に皮膚科医院を開設以来,今日まで地域住民の医療・保健・福祉の向上に取り組むとともに,昭和43年からは,学校医として,養護教諭との連携の下,学校教育,保健衛生活動の円滑な運営に努めた.
 また,沖縄の本土復帰と同時に,予防接種事業の担当医となり,約32年間にわたって,乳幼児・児童生徒の疾病の予防に尽力した.

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