日医ニュース
日医ニュース目次 第1232号(平成25年1月5日)

国民医療を守るための総決起大会
「国民皆保険の堅持」「医療に係る消費税問題の解決」を求める決議を採択

 国民医療を守るための総決起大会(主催:国民医療推進協議会,協力:東京都医師会)が昨年十二月二十一日,日医会館大講堂で開催された.
 当日は,千名を超える参加者が集い,参加者全員の総意として,「国民皆保険の堅持」と「医療に係る消費税問題の抜本的解決」を求める決議が採択された.

国民医療を守るための総決起大会/「国民皆保険の堅持」「医療に係る消費税問題の解決」を求める決議を採択(写真) 本大会は,昨年十一月十五日に急きょ開催された「第八回国民医療推進協議会総会」において,国民皆保険の堅持と地域医療の再興を求める国民の声を政府に届けるために実施することが承認された国民運動の一環として,開催されたものである.
 当日は,三上裕司日医常任理事の司会で開会.冒頭,国民医療推進協議会長としてあいさつを行った横倉義武日医会長は,国民医療を支えている国民皆保険と地域医療提供体制を維持し,再構築していくことは国家の責務であると強調.その上で,昨今のTPP等,国民皆保険を崩壊へと導きかねない動きに懸念を示し,新政権に対しては,「今回の国民運動の趣旨を理解し,国民皆保険の恒久的堅持と地域医療の再興に向けた政策を実施してもらいたい」と述べた.
 続いて,あいさつに立った野中博東京都医師会長は,これからの社会を構成していく上で国民皆保険は欠かせないものであり,政府が今後,経済の発展のために,TPP交渉に参加すると判断したとしても,国民皆保険を崩壊させてはならないと訴えた.
 次に,来賓として,まず,櫻井充厚生労働副大臣(当時)が登壇.民主党政権下での社会保障政策を振り返り,診療報酬の二回連続の引き上げ等,医療政策には力を入れてきたとした上で,国民皆保険については,今後も維持しなければならないとし,そのために必要なこととして,国民の理解を挙げた.
 続いて,あいさつした武見敬三参議院議員は,「国民皆保険はわが国の宝であるだけでなく,国際社会からも高く評価されている」とし,それを維持するため,今後も全力で取り組んでいく意向を示した.

中川・今村両副会長が大会の趣旨を説明

国民医療を守るための総決起大会/「国民皆保険の堅持」「医療に係る消費税問題の解決」を求める決議を採択(表) 引き続き,本大会の趣旨を日医の中川俊男・今村聡両日医副会長が説明した.
 医療に係る消費税問題については,今村日医副会長が,社会保険診療が非課税であるために,医療機関では,多大な負担を強いられていると説明.この問題の解決無しに消費税率が引き上げられれば,医療機関の経営は成り立たなくなるとし,医療関係者が一丸となって,その問題の解決に取り組んでいくことを求めた.
 医療の営利産業化の問題については,中川日医副会長が,国民皆保険は今,最大の危機に瀕しており,医療関係者がその危機感を共有し,国民皆保険を守っていくことが必要だと強調.TPP交渉への参加は,究極の規制緩和であるとし,新政権に対しては,国民皆保険を守るだけではなく,(1)現在の公的医療保険の守備範囲を維持する(2)混合診療の全面解禁をしない(3)営利企業を医療経営に参入させない─ことを求めていきたいとした.
 続いて,国民医療推進協議会の副会長である大久保満男日本歯科医師会長,児玉孝日本薬剤師会長,坂本すが日本看護協会長から,それぞれ決意表明が行われた.
 大久保日歯会長は,わが国の国民が持つ共助の精神を,国がしっかりと支えていくことが大事だとするとともに,国民に良質な医療を提供していく上でも控除対象外消費税問題の解決は不可欠であるとし,新政権に対しては,それらのことをしっかりと伝えていきたいとした.
 児玉日薬会長は,新政権が発足するに当たっての懸念として,「社会保障制度改革国民会議の委員に現場の意見を反映出来る人がいないこと」「経済財政諮問会議の復活」を挙げ,国民のための医療を守る行動を続けながら,その行方を注視していく意向を示した.
 坂本日看協会長は,(1)質の高い医療を提供する体制の確保(2)国民が安心して医療が受けられる体制の確立(3)国民皆保険の堅持─が今後は重要になるとし,「その実現を一緒に目指していきたい」とした.
 その後は,山崎學日本精神科病院協会長が,本大会の決議案を朗読.決議案は満場の拍手を持って採択された.最後に,羽生田俊日医副会長の掛け声の下,参加者全員が起立して,「頑張ろうコール」を行い(写真上),会は終了となった.

新政権に,決議に対する理解を求める─横倉会長

左から坂本日看協会長,大久保日歯会長,
横倉日医会長,児玉日薬会長

 大会終了後,大久保日歯会長,児玉日薬会長,坂本日看協会長と共に記者会見を行った横倉日医会長は,大会の開催趣旨を改めて説明した上で,「本大会に千名を超える参加者が集まったことは,医療に携わる関係者の今回の問題に対する危機感の表れである」とし,今後も,国民の理解を得ながら国民運動を続けていく考えを表明.また,採択された決議に関しては,新政権発足後に総理大臣始め,各担当大臣,与野党国会議員にも届け,理解を求めていくとした.

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