日医ニュース
日医ニュース目次 第1233号(平成25年1月20日)

勤務医のひろば

勤務医を守る,地域医療を守る─深川医師会の取り組み─
深川市立病院麻酔科部長・症状緩和チーム 深川医師会理事 大谷内真弓

 深川医師会の勤務医の負担軽減を図る取り組みについてご紹介する.
 北海道の北空知二次医療圏は,約千七十平方キロメートル(東京都の約半分)に三万五千人が住む地域である.深川市立病院が唯一の二次医療機関であるが,数年前よりご多分にもれず,医師数の減少により救急医療の維持が困難になった.
 そこで,夜間休日の当番体制を見直し,より多くの医師で一次救急を担うようにした.具体的には,他の病院の医師が市立病院の休日一次救急診療を分担するようにした.もちろん事情で出張が難しい医師は今までどおり,自院で休日当番をしても良いのである.
 この「深川方式」がスタートして二年が経過したが,これがなかなか順調なのである.
 休日がしっかり確保出来るようになり,市立病院勤務医の負担感はかなり減少した.何よりも地域の医師同士,「顔の見える関係」が構築され,紹介や連携が非常にスムーズになったことは思わぬ余禄であった.
 なぜ,このような取り組みが出来たのか.もともと医師会の入会率が高かったこと,時間をかけてなるべく多くの医師が無理なく協力出来る形をつくったことなどがあるが,当医師会の事務長がこう言っていた.「医師会に市立病院から院長や副院長だけが参加しているのでは,こうはいかなかった.市立病院の若手の先生方が日頃から医師会に顔を出していたことが大きい」
 今後地域に医師数が増える見込みは乏しい.どこまでこの体制が維持出来るか,見通しは決して明るくはないが,医師による自主的な医師再配置の一つのカタチとしてご提示したい.

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