日医ニュース
日医ニュース目次 第1236号(平成25年3月5日)

平成24年度日本医師会医療情報システム協議会
「ITで紡ぐ医療連携」をメインテーマに

平成24年度日本医師会医療情報システム協議会/「ITで紡ぐ医療連携」をメインテーマに(写真) 平成二十四年度日本医師会医療情報システム協議会が都道府県医師会情報システム担当理事連絡協議会を兼ねて,二月九,十の両日,日医会館大講堂で「ITで紡ぐ医療連携」をメインテーマに開催され,熱心な議論が行われた.
一日目
 石川広己常任理事の総合司会で開会.
 冒頭,あいさつを行った横倉義武会長(中川俊男副会長代読)は,「日医は,今節を『医療連携IT化元年』と位置付けており,今年度の協議会では,ITを利用した地域医療連携の調査結果や事例等を紹介する.地域医療連携を推進する際,参考にして頂きたい」と述べた.
 続いてあいさつした運営委員長の嘉数研二宮城県医師会長は,「日医が提唱する『医療連携IT化元年』に相応しいテーマを設定した.活発な議論をして頂き,ITで紡ぐ地域医療連携ネットワークの構築が進展することを願っている」と述べた.
 まず,シンポジウムI「医師会データの保存管理の在り方について」では,ファーストサーバ株式会社のデータ消失事故を受けて,被害にあった鹿児島県医師会(松本滋医療情報システム担当理事)と兵庫県医師会から報告があり,その後,尾崎孝良日医総研主席研究員・弁護士が,事件から学ぶべき法的論点と過去の判例について解説した.最後に,情報の重要度とリカバリーするまでのスピードを勘案したバックアップの重要性を説いた.
 続いて,シンポジウムII「ORCAと認証局」が行われた.
 上野智明日医総研主席研究員がORCAの最新状況を報告した.次に,佐伯光義医療IT委員会副委員長(愛媛県医師会常任理事)が,日医が全国を視野に入れて認証局事業を展開していく上での問題点と課題を解説,矢野一博日医総研主任研究員は,その解決策等を示すとともに,「日医認証局会員(仮称)」制度の検討や準備会を設置し,会内で積極的に推進していることを紹介した.
 その後,日医認証局を活用している岡山県「晴れやかネット」について,秋山祐治川崎医療福祉大学准教授が報告し,宇宿功市郎熊本大学医学部附属病院教授が同病院の電子カルテ閲覧の仕組みについて説明した.
 更に,島根県の「まめネット」に関する児玉和夫島根県医師会常任理事からの報告の後,川出靖彦座長(岐阜県医師会副会長)が総括し,その後,フロアとの間で活発なディスカッションが行われた.
二日目
 冒頭,あいさつを行った横倉会長は,「われわれ執行部は,『地域医療の再興』を最重点課題としており,日医が積極的にITを利用した地域医療連携に係り,推奨出来るモデル的なものを提示していきたい」と述べた.
 まず,シンポジウムIII「レセプトデータの行方」が大講堂で行われた.
 石川常任理事が,ナショナルデータベースの解説とレセプトデータの不適切な使用事例を紹介し,その危険性を指摘した.
 その後は,松田晋哉産業医科大学教授と藤森研司北海道大学教授から,ナショナルデータベースのいろいろな分析方法等が紹介された.
 次に,シンポジウムIV「医療連携について」では,「ITを用いた地域医療連携の現状と近未来」と題して,山本隆一東京大学大学院情報学環准教授が基調講演を行い,ITを利用した地域医療介護連携のためには何が必要かを考察した.
 午後からは,シンポジウムIVの続きとして,事例報告が行われた.
 まず,上野日医総研主席研究員から日医総研がWeb上で実施した「ITを利用した地域医療連携の調査」の結果が報告された.
 次いで,牟田幹久長崎県医師会常任理事から「あじさいネット」,田中章慈和歌山市医師会長から「地域連携サイバーパス(糖尿病並びに認知症)」,久保田泰弘浪速区医師会在宅医療担当理事から「ブルーカードシステムにおける医療連携」について,ITを利用した医療連携の成功事例がそれぞれ報告された.
 その後,清水宏明広南病院副院長・脳神経外科部長から,復興とともに急速に進んでいるITを利用した地域医療連携「みやぎ医療福祉情報ネットワーク協議会」について,報告があった後,石川常任理事は,医療の現場で本当に使えるシステムの基盤をつくることが必要であると総括し,地域医療におけるキーパーソンの重要性を説いた.
 最後に,次回担当県の川島龍一兵庫県医師会長のあいさつの後,運営委員の登米祐也宮城県医師会常任理事が,「協議会に参加した先生方は各地のキーパーソンであり,各地でも指導力を発揮して欲しい」とあいさつし,閉会した.
 参加者は四百四十九名であった.

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