第1240号（平成25年5月5日）

何と，新設反対が賛成に書き変えられた！

　新聞社から医師不足と医学部新設に対する当地の医師会の見解を聞きたいとの要望を受け，担当役員が応じたインタビューに同席した．新設医学部が，今でも不足している医師・看護師を吸収し，地域医療をかえって悪化させる，新設よりも偏在解消が実際的であるという理由とともに，「新設反対」がはっきりと伝えられた．
　ところが，数日後の記事を見て驚いた．医師会は医学部新設を望んでいると書かれていた．すぐさま抗議の電話を入れ，訂正文の掲載を要求した．その結果，小さいスペースではあったが，医師会は新設反対であることが掲載された．
　振り返って考えると，誤掲載の流れが見えてきた．インタビューでは上記の反対理由に続いて，次のような説明がなされた．「当地の医師を増やすためには，多くの研修医に来てもらう必要がある．そのためには，地元の病院や医学部が研修先として魅力的である必要がある」．この最後の一句が見事に（？）書き変えられていた．「医学部が魅力的である必要がある」が，「魅力的な医学部を作る必要がある」に変化していたのだ．誤解釈か意図的かは分からないが，その新聞社のスタンスは初めから新設賛成であった．
　マスコミ対応は最後まで気が抜けない．白を黒と書かれても，一度記事になっては訂正しても後の祭り．インタビューを受ける際は，掲載前のチェックの確約をとる必要がある．

（骨コツ）