日医ニュース
日医ニュース目次 第1277号(平成26年11月20日)

第3回「日本医師会 赤ひげ大賞」表彰式・レセプション
安倍総理らの列席の下現代の赤ひげ5名を表彰

 第3回「日本医師会 赤ひげ大賞」(日医・産経新聞社主催)の表彰式並びにレセプションが10月31日,都内で開催された.
 レセプションには,国会の会期中にもかかわらず,安倍晋三内閣総理大臣,塩崎恭久厚生労働大臣が駆け付け,受賞者を祝福するとともに日頃の活動を称えた.

第3回「日本医師会 赤ひげ大賞」表彰式・レセプション/安倍総理らの列席の下現代の赤ひげ5名を表彰(写真) 本賞は,現代の“赤ひげ”とも言うべき,地域の医療現場で長年にわたり,健康を中心に住民の生活を支え,その地域のまちづくりに寄り添った活動を続けている医師にスポットを当て,顕彰することを目的として,平成二十四年度に創設されたものである.
 表彰式の冒頭,主催者あいさつを行った横倉義武会長は,「医療は,医師を始めとするさまざまな医療関係者と患者との信頼関係に基づいた協働作業でなければならない」とした上で,今回の受賞者については,「いずれの方も各地域において,献身的な医療活動を通じて患者と携わっておられ,まさに『現代の赤ひげ先生』と言える方々ばかりだ」と述べ,日頃の活動を称賛.日医は今後も,これらの先生方を支え,必要とする医療が過不足なく受けられる社会づくりを目指していくとした.
 引き続き,塩崎厚労大臣(村木厚子厚労事務次官代読)の祝辞,選考委員である石川広己常任理事による選考経過の報告並びに講評の後,主催者である横倉会長,熊坂光産経新聞社社長から,受賞者に表彰状,トロフィー並びに副賞が手渡され,それぞれの受賞者から謝辞が述べられた.
 岩手県の岩田千尋氏は,「釜石・大槌医療圏は従来より慢性的な医師不足の状態にあり,医療者全員が協力体制を取って医師不足を補ってきた.東日本大震災から三年八カ月が経ち,復興の兆しが見えてきているが,今後は以前にも増して医療機能を高め,高齢化していく地域医療を支える役割を担っていきたい」と述べた.
 東京都の西嶋公子氏は,住民参加型の福祉・介護システムの構築を目指し行ってきた活動が,現在では,多くの住民によるボランティア活動で支えられており,今後の地域包括ケアの基礎となるものと考えているとした上で,「本活動を参考に,各地の地域特性に合わせた包括ケアが広がっていくことを願う」と述べた.
 徳島県の鬼頭秀樹氏は,「『赤ひげ』を理想の診療として自分なりに一生懸命患者を診てきた結果,このような賞を頂き,これまで支えてくれた家族や職員,患者に感謝したい」と述べるとともに,今後も,本賞を励みに努力していく考えを示した.
 福岡県の二ノ坂保喜氏は,「亡くなった患者やその家族から教え育てられ,現在のような在宅ホスピスケアを作り上げることができた.この活動が認められ,本賞を受賞できたのであれば,最期の日々を自分に託し,命がけでいろいろなことを教えてくれた患者達に一番感謝したい」と述べた.
 鹿児島県の古川誠二氏は,厳しい環境にある地域の医療に貢献したいという気持ちで始めた自身の離島医療での経験を振り返るとともに,「本賞を受賞したことで,若い人達が離島医療に目を向けてくれるようになればありがたい」と,地元の方言で感謝の意を表した.
第3回「日本医師会 赤ひげ大賞」表彰式・レセプション/安倍総理らの列席の下現代の赤ひげ5名を表彰(写真) その後のレセプションには,塩崎厚労大臣,安倍総理が相次いで駆け付け,それぞれお祝いの言葉を述べた.
 塩崎厚労大臣は,まず,受賞者の地域での活躍に改めて敬意を表するとともに,「医療が整っていない地域に人は集まらず,人がいなければ地方創生は成り立たない」として,住みやすく生きがいのある地域の構築に向けた更なる協力を求めた.
 安倍総理は,「それぞれの地域が持つさまざまな問題に向き合いながら,地域の皆さんの健康を守っておられる先生方は,地域の人々にとって頼れる存在にもなっている」として,受賞者の日頃の活動を称えた上で,国民の健康維持のためにも,「かかりつけ医」という重要な仕組みを,しっかりと定着させていくことが大事になるとの考えを示した.
 その後は,選考委員である羽毛田信吾氏(昭和館館長・宮内庁参与),向井千秋氏(宇宙航空研究開発機構宇宙医学研究センター長),山田邦子氏(タレント),小林光恵氏(作家)からのゲストスピーチの後,受賞者所属医師会を代表して,石川育成岩手県医師会長があいさつを行い,レセプションは盛会裏に終了となった.

受賞者 受賞者の功績
岩田 千尋(いわた ちひろ) 医師
67歳 岩手県
大槌病院
東日本大震災後の現在も全力で医療再建に尽力
38年間,大槌町民及び近隣住民の健康管理に貢献.東日本大震災の際には,被災した県立大槌病院において数日間にわたる停電と断水の中で懸命に医療活動に従事するとともに,入院患者を安全な場所に移送すべく奔走した.大震災後,人口と共に医師数も減少したままの大槌町において,現在も仮設大槌病院で定年退職を延長し,全力で医業に取り組んでいる.
西嶋 公子(にしじま きみこ) 医師
69歳 東京都
西嶋医院
在宅医療に長年取り組む,地域のかかりつけ医
東京都町田市という新興住宅地をベースに,33年間,かかりつけ医として活躍.開業当初から在宅医療に力を注いできた先駆者.「住民の,住民による,住民のための在宅ケア」を目標に,地域住民と協働し,国,都,市に訴え,市有地に600坪の高齢者施設を建設.外来診療,往診だけでなく,院内カンファレンスや住民との触れ合いの場を設けるなど,積極的な活動を行っている.
鬼頭 秀樹(きとう ひでき) 医師
60歳 徳島県
上那賀病院
過疎地域に移住し,24時間年中無休で患者に対応
大阪・和泉市立病院の外科部長として活躍していたが,へき地医療に関心があり,那賀町で新設の手術施設が外科医不在のために活用されていない現状を知って家族と移住.院内手術数を4割増加させた.また,病院の近くに居住し,24時間年中無休で患者に対応し,重症患者の救命率を向上させた他,平日来院できない勤労者や児童のため,日曜午前中にも外来や往診を行っている.
二ノ坂 保喜(にのさか やすよし) 医師
63歳 福岡県
にのさかクリニック
あるべき在宅医療・介護を目指し患者に寄り添う
「人生の最期は生活から切り離された病院ではなく,住み慣れたわが家で豊かな生活を過ごして欲しい」との思いで,足しげく患者宅に通い,患者やその家族との触れ合いを大切にしている.また,在宅医療への地域の理解を深めるために,在宅ホスピスのガイドブックを作成した他,在宅介護を支えるボランティアの育成にも力を入れている.
古川 誠二(こかわ せいじ) 医師
65歳 鹿児島県
パウナル診療所
離島医療をライフワークに日々の実践を続ける
鹿児島県徳之島から始まり,今日まで,25年間を離島医療に従事.離島のプライマリ・ケアの実践を行っている.通常の診療の他,往診は高齢者を中心に24時間対応で,不在の時は全国から集まる先生方に留守を頼み,日々対応できる体制を整えるだけでなく,島内で対応できない患者は,ヘリコプターや小型飛行機を利用し,島外に急患搬送を行っている.また,公民館で英会話教室を開くなど,島内の教育にも尽力している.

順序は北から.受賞者の年齢は平成26年10月31日現在.

当日の模様や,受賞された先生方の診療の様子などを紹介した番組「密着! かかりつけ医たちの奮闘〜第3回赤ひげ大賞受賞者〜」は,BSフジで11月29日(土)午後2時から55分間放映される予定となっています.ぜひご覧下さい.

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