日医ニュース
日医ニュース目次 第1291号(平成27年6月20日)

勤務医のページ

平成27年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会
「医療事故調査制度」及び「地域医師会を中心とした勤務医の参画と活躍の場の整備」をテーマに

勤務医のページ/平成27年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会/「医療事故調査制度」及び「地域医師会を中心とした勤務医の参画と活躍の場の整備」をテーマに(写真) 平成二十七年度都道府県医師会勤務医担当理事連絡協議会が五月十三日,日医会館小講堂で開催された.
 勤務医担当の笠井夫常任理事の司会で開会.冒頭,あいさつに立った横倉義武会長は,会内に新設した「医師会組織強化検討委員会」からの提言を受けて,臨床研修医の日本医師会会費無料化を正式に決定したことを説明した上で,医師会の組織強化の推進に当たっては,「日本医師会綱領」の理念の下に全ての医師が大同団結していくことが重要である旨を強調した.
 議事に移り,まず,澤井博司神奈川県医師会副会長が,平成二十六年十月に横浜市内で開催された「全国医師会勤務医部会連絡協議会」について報告別記事参照.続いて,本年度当番県である秋田県医師会の坂本哲也副会長が,本年度の連絡協議会を「日本の国情から見た理想的な勤務医とその将来像〜地域医療充実へのロードマップ〜」をメインテーマとし,十月二十四日に秋田市内で開催予定であると説明した.

医療事故調査制度について解説

 引き続き,松原謙二副会長が,本年十月から施行される「医療事故調査制度」について解説した.
 医療事故の定義は,「医療に起因し,予期しなかった死亡として厚生労働省令に定めるもの」とされているが,「予期しなかった」とは,(一)説明していた,(二)診療録その他の文書等に記録していた,(三)医療従事者等からの事情の聴取及び医療の安全管理のための委員会からの意見聴取を行った上で予期されていたと管理者が認めた─のいずれにも該当しないと管理者が認めたものであると説明した.
 また,遺族への説明については,「厚労省通知では,口頭または書面により行い,調査の目的・結果について,遺族が希望する方法で説明するよう努めなければならないとされているが,これは努力義務である」とし,「正当な理由((1)内部で意見が一致しない(2)調査が十分ではない(3)目的外使用が明らかである)がある場合には,報告書を交付できない場合もあり得る」との見解を示した.
 その上で,「調査結果によって必ずしも原因が明らかになるとは限らないこと」「再発防止策は個人の責任追及とならないように注意し,当該医療機関の状況及び管理者の意見を踏まえた上で記載すること」が明記されていることに触れ,「本制度の目的はあくまでも医療安全の確保であり,個人の責任を追及するものではない」と述べ,制度に対する理解と協力を求めた.

協議「地域医師会を中心とした勤務医の参画と活躍の場の整備」をテーマに

 協議の冒頭,泉良平勤務医委員会委員長(富山県医師会副会長)は,勤務医の声を吸い上げるためのフレームワークの構築を提案し,出席者の理解と協力を求めた.
 協議では,各地区医師会の推薦により勤務医委員会に参画している委員から,勤務医に日医等からの情報を伝え,その意見を吸い上げるための取り組みについて報告があった.
 北海道地区:岡部實裕北海道医師会常任理事は,毎年二地区を対象に道医師会役員を派遣し,勤務医懇談会を開催していることや,勤務医部会が地域医療の現況調査を基に採択した「北海道の勤務医の勤務環境改善のための提言」を紹介した他,道医師会と北海道(行政)とで設置している北海道総合医療協議会について説明した.
 東北地区:望月泉岩手県医師会常任理事は,(1)医療事故調査制度(2)医療勤務環境改善支援センター(3)女性医師の参画(4)専門医制度(5)地域包括ケア(6)地域医療構想─について,同地区の各県医師会に対して実施したアンケート結果として,その取り組みと今後の課題等を紹介した.
 東京地区:友安茂東京都医師会理事は,各部署が勤務医と開業医の議題を包含して理事会で討議し,その結果については地区医師会を通じて勤務医に周知していると説明.
 また,地区医師会長連絡協議会(月一回開催),地区医師会理事会への訪問(月二,三回)を行い,意見交換等をしていることを紹介した.
 関東甲信越地区:金沢和俊埼玉県医師会副会長は,同県医師会勤務医部会の取り組みを紹介するとともに,県医師会理事を各郡市医師会から一名ずつ選出すること等を通じて,意見を吸い上げる仕組みはできていると説明.更に,研修医の会費無料化についても検討しており,郡市医師会にも働き掛けを行う予定であるとした.
 中部地区:泉富山県医師会副会長は,中部医師会連合の取り組みとして,これまでに「勤務医特別委員会」を二回開催してきたことを紹介.平成二十七年度も同委員会の開催が決定しており,勤務医にかかる諸問題について検討し,中部医連総会で報告する予定であるとした.
 近畿地区:下村嘉一大阪府医師会理事は,近畿医師会連合の分科会や担当理事連絡協議会において意見交換等を行っていること,また,大阪府医師会勤務医部会では,十一地域のブロック委員会での活動を基礎に,常任委員会を年二十一回開催し,問題解決のための意見交換を活発に行っていること等を紹介した.
 中国四国地区:清水信義岡山県医師会副会長は,同地区の各県医師会で行われている勤務医部会及び勤務医委員会のさまざまな活動内容について報告.また,岡山県医師会では「研修医登録会員制度」や「WELCOME研修医の会」等を通じて研修医の県医師会への入会を推奨していると説明した.
 九州地区:金丸吉昌宮崎県医師会常任理事は,同地区の全県医師会に勤務医部会もしくは委員会が設置され,勤務医が理事等として参画していることを説明.研修医の段階から,いかに医師会に入会してもらうかが今後の課題であり,勤務医の就労環境の改善に向けた検討会の設置など,さまざまな取り組みを行っているとした.

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