日医ニュース
日医ニュース目次 第1295号(平成27年8月20日)

勤務医のひろば

日医変革に期待
新潟県立十日町病院長/新潟県医師会理事/日医勤務医委員会委員 塚田芳久

 規制改革・財政健全化・安全保障政策変更など,日本は変革の嵐である.
 医療法は改正され,地域医療構想や医療事故調査制度などが動き,専門医制度改革が始まる.所得に比例した国民負担増や,国民皆保険形骸化と連動し,混合診療は拡大する.
 新医師臨床研修制度の導入で,地域医療は崩壊した.次は新施策による都市医療・介護の崩壊かと危惧する.急性期病院の要件強化は,医療機関の経営・存続危機の心配があり,急性期病床の削減や大病院への受診抑制など,新施策は在宅医療を増やす.財政削減の在宅医療・介護は,地域医師会と自治体に任され,開業医と中小病院に負担増が強いられる.
 9000人前後の新卒医師の大半が,病院勤務医と医育機関所属を希望し,遂に勤務医は20万人を超えた.この間,診療所数は7万余で停滞している.
 更に,医療事故調査制度の施行やクレームの増加,専門医制度の更新の厳格化など,若手医師が大病院・都市部偏在に進む環境が整う.勤務医の多くは過重労働を感じ,医師会活動に割く時間はないと言っている.しかし,学会活動には参加し,専門医を維持するための時間はある.
 法人格を得た日本医学会連合や日本専門医機構が機能すると,専門医志向の勤務医は医師会から更に離れてしまう.その意味で,今が日医が医師全体を代表する組織に変革するための最後の機会と思う.
 今年,日医では,研修医の年会費無料化を打ち出した.これを契機に,研修医全員を医師会に加入させ,30万人の医師が全員加入する組織を目標にしよう.
 日医が旧来の会員目線から脱皮し,勤務医を取り込み,保身は捨てて,国民目線を持って医療崩壊に立ち向かう正義の味方へと変身すれば,その実現は可能だと思う.

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