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たいしたことじゃない


品川 久瑠実(10歳)福岡県小郡市・小学5年

 おじいちゃんは声がとっても大きくて、にこにこ笑っていて、前はヘリコプターのパイロットをしていたやさしい人です。

 そんなおじいちゃんが四月十四日に入院しました。病名はのうこうそくです。のうの血管がつまって体にまひが出たり、ひどい時には死んでしまうこともある病気です。おじいちゃんは体にまひは残らなかったけど、字が書けなくなりました。読むことは今まで通りできるけど、形を構成できないのです。頭の中の大事な部分の細ぼうが死んでしまったのです。おじいちゃんはこれまでに、二度もがんになりました。でも、おじいちゃんは

「たいしたことじゃない」

と笑って二度のがんをのりこえました。でも今回はがんの時よりもひどくおちこんでいました。おじいちゃんは、自分の気持ちを上手に伝えることができなくて、イライラすることがありました。お母さんは毎日病院に行きました。お母さんは、

「おじいちゃんが、あのまま死んでしまわなかったのは、神様が親孝行する時間をくれたんだね」
と言いました。私も妹も学校がお休みの時はおじいちゃんに会いに行きました。

 私達が行くと、おじいちゃんはとても喜んでいました。おじいちゃんは毎日リハビリをしています。おじいちゃんはとてもがんばっていました。入院していると足が弱るので足の運動や字の練習、おじいちゃんのしゅみのしょうぎなどをリハビリでしています。

 私はしょうぎを覚えることにしました。しょうぎをすることもリハビリになるのなら退院した後、私がおじいちゃんのリハビリの相手になれるといいなぁと思って覚えることにしました。しょうぎがとても強いおじいちゃんの相手が弱かったらあんまり、リハビリにならないので、もっと強くなりたいと思います。

 おじいちゃんの病とうはのうこうそくの人たちばかりでした。足にまひが残って車いすになった人、手が動かなくなり自分でごはんを食べられなくなった人、顔にまひが出てうまくしゃべれなくなった人。みんな病気になる前は元気だった人たちでした。

 いきなり足や手や口が動かなくなって、きっと悲しくてつらいと思います。でも、みんな一生けん命リハビリをがんばっていました。歩く練習、スプーンを持つ練習、話す練習。お母さんが、

「みんなこれからの自分と家族のためにがんばっているんだね」と言いました。

 私は今まで何も考えず歩いたり、ごはんを食べたり、話をしたりしていましたが、健康がどんなに大事なことか分かりました。

 入院して一ヵ月半が経ったころおじいちゃんは自分の名前が書けるようになりました。一生けん命書いているのが分かるしっかりとした字でした。お母さんは泣いていました。うれしくて泣いていました。おじいちゃんは、「たいしたことじゃない」と笑っていました。

 おばあちゃんは、おじいちゃんが帰ってきた時に少しでも楽になるようにとおふろ場や階段に手すりをつけようとじゅんびをしていました。みんながおじいちゃんが元気になるのをまっていました。順調に回復しているとみんなが思っていました。

 そんな時に、病院から電話がありました。おじいちゃんがまたのうこうそくをおこしたという電話でした。お母さんは、あわてて病院へ行きました。でも、今回つまった血管はごく細いものだったので、ほとんど後いしょうは残りませんでした。

 次の日は土曜日だったので、私も病院へ行きました。おじいちゃんの顔を見たら安心しました。病院では、おくれた七夕のかざりつけがありました。私と妹でおじいちゃんのかわりに願いごとを書きました。入院しているおじいちゃんやおばあちゃんも願いごとを書いていました。どのたんざくにも自分と家族の健康を願う言葉が書いてありました。

 おじいちゃんは今日もリハビリをがんばっています。きっと、来年の七夕には自分で願いごとが書けるようになっていると思います。たくさんの字が書けるようになってもおじいちゃんはやっぱり、

「たいしたことじゃない」
とてれくさそうに笑うと思います。