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信頼できる医師と出会えた幸せ


清野 香代子(48歳)北海道小樽市・中学校教員

 「健康」に自信があった私も、四十歳を過ぎてから人間ドックの結果、精密検査が必要との指示で、医療機関を訪れることが多くなった。幸い、二次検査では、今のところ事なきを得ているが、いつか大きな病気と診断されるのではないかと、内心びくびくしている。

 私たち素人にとっては、健康診断の結果を一読しても、この数値が高いとどれくらい体に影響があるのか、また何をどのくらい気を付けて生活すれば良いのか、分からないことが多い。

 実際私も、検診の結果「RF定量」が高いため精密検査となり、地元の病院では検査ができないということで、札幌の大学病院を訪れた。「RF定量」とは、リウマチファクターのことで、「リウマチ」という病気に関係があるくらいの知識をインターネットで得て、私は病院へ行ったのだった。

 担当の医師は、おそらく難しい内容であろう事柄を、素人の私にも分かりやすい言葉で説明してくれた。「RF定量」の数値が高くても、何ら健康に問題がなく、症状の出ていない人もいるとのことだった。その時点では、私も体調に何の変化も感じていなかったので、医師の分かりやすい説明に納得して、病院を後(あと)にした。しかし、それから三か月後、左足のくるぶしのあたりに腫れが生じ、歩く時も痛くて、足を引きずるようになってしまった。

 仕事が忙しく、すぐには病院へ行けなかったので、一か月近く様子を見たが、症状は変わらず、何とか都合をつけ、再び病院へ足を運んだ。最初は、リウマチとの関連に何も気付いていなかった私だが、整形外科で診てもらったところ、「リウマチ」の可能性があるとの診断だった。しばらく大学病院の整形外科へ通院していたが、担当の医師が転勤になったのを機会に、同じ病院の内科へ転科し、今は内科で診てもらっている。それは、病気になったのを機会に、どのような医師のもとで治療を受けるのが最善かを検討した結果、この病気の「専門医」という医師が存在することに気付いたからである。奇しくも、私の現在の主治医は、精密検査で「RF定量」について、分かりやすく説明してくれたあの医師である。先生もカルテの記録から、私があの時の患者であることに気付いており、今までの治療の経過を把握し、今後の見通しなどを詳しく話してくれる。患者にとって、医師との信頼関係は、何よりも大切なことで、私は現在、大きな心の平安を得て通院を続けている。医師は患者よりも高い位置から、高飛車な態度でものを言う人もいるらしいが、私の主治医は、いつも優しい言葉で、患者の側に立って話をきいてくれる。この心のキャッチボールが、自分の病気に前向きに付き合って行こうという原動力になるのである。

「何か他に聞きたいことはありませんか。」「何か体調に変化があったら、予約の時以外でも、すぐに連絡を下さい。」どちらも先生の言葉だが、患者である私にとって、どれくらい安心感を与える言葉であるだろうか。

 実は、この夏も、風邪をひいているという実感はないのに、激しい咳が出て発熱する症状が続いてしまった。薬の副作用という話も聞いていたので心配になり、私は迷わず病院へ電話をした。先生は、その日は外来担当の日ではなかったが、すぐ来るようにと言ってくれた。大学病院の先生は、患者のことを実験台のように見ている人もいるのではと思っていた私も、たび重なる先生の温かさに、心が動かされていた。結局、私は、肺炎になっており、リウマチの薬は、しばらくお休みとなった。その後も症状が回復せず、不安になって連絡すると、予約日以外だったのに、こちらの都合良い時間に合わせて診て下さったりと、患者の私にとっては、本当に心強く、心から信頼できる医療を行っていただいていると実感する。

 「心に残る医療」とは、大病をした時に素晴らしい名医に出会って、病が治る体験をすることもあるだろうが、私のように、日常の通院の中で、本当に心から信頼できる医師との出会いによって、積み上げられていくような気がする。専門的な知識を持たない患者は、いつも低い位置から医師を眺め、言われるがままに従うしかない…そんなイメージが、医師と患者の間に残っているかもしれない。しかし、私の先生は、難しい研究をして専門的な知識を持っているにもかかわらず、常に患者の目線で病気についても語ってくれる。医師ではなく人として尊敬でき、この先生が指示してくれることなら間違いないという心強さが、今の私を支えてくれている。先生がある場所で「私たち医師も患者さんの訴えに傾聴する姿勢を忘れないようにしなければいけない」と、語っていることを知った。数年前の言葉だが、まさに日々の医療活動の中で、それを実践している先生の姿に、心から感動を覚えた。

 病にかかることは不幸だが、このような医師と出会えたことが幸せであり、私の病気も、今後快方に向かうに違いないと感じている。